【完全ガイド】Premiere Color Mode 使い方|Lumetri卒業?10年ぶり刷新のカラーグレーディング新環境を徹底解説

Lumetriでやっと手が慣れたのに、また覚え直し?
こんにちは、現役 MV クリエイターの青来です。
Premiere Color Mode(カラーモード)の使い方を、MV/PV 制作者の目線で解説していきます。Color Mode は NAB 2026 で発表された Premiere の新しいカラーグレーディング専用環境で、Lumetri 登場から約10年ぶりとなるカラー機能の全面刷新です。
「Lumetri でやっと手が慣れたのに、また覚え直し?」「カラグレは DaVinci に投げればよくない?」——わかります。僕も発表を見た瞬間、期待半分・警戒半分でした。
でも結論から言うと、Color Mode は「編集ソフトの中でカラーグレーディングまで完結させたい人」にとって本命のアップデートです。DaVinci Resolve とのラウンドトリップ(往復書き出し)を減らせる可能性を秘めています。
先に断っておくと、Color Mode は執筆時点(2026年7月)で公開ベータの機能です。この記事は Adobe 公式ドキュメントと海外一次レビューの整理+MV クリエイターとしての想定ワークフローとして書いています。正式リリースまでに仕様が変わる可能性がある前提で読んでください。
Premiere 全体の操作から固めたい人は、Premiere Pro の使い方完全ガイドを先にどうぞ。
- Premiere Color Mode とは何か・Lumetri との違い3点
- 公開ベータの有効化手順3ステップ
- 双方向コントロールなど基本的な使い方
- クリップ/グループ/シーケンスの3階層の考え方
- DaVinci Resolve との使い分け
- 1. Premiere Color Mode とは?NAB 2026 発表・10年ぶりのカラーグレーディング刷新
- 2. Color Mode と Lumetri の違い3点|Premiere カラーグレーディングはどう変わる?
- 3. Premiere Color Mode 公開ベータの有効化手順3ステップ
- 4. Color Mode の基本的な使い方|双方向コントロールとリアルタイム調整
- 5. Color Mode のクリップ/グループ/シーケンス適用の考え方
- 6. Premiere Color Mode と DaVinci Resolve の使い分け
- 7. Color Mode のつまずき3パターン
- 8. Premiere Color Mode が合う人・合わない人
- 9. まとめ|Premiere Color Mode は「編集の中で色が完結する」新環境
1. Premiere Color Mode とは?NAB 2026 発表・10年ぶりのカラーグレーディング刷新
Color Mode は、2026年4月15日に Adobe が NAB 2026 に合わせて公式ブログで発表した、Premiere 内蔵の新しいカラーグレーディング専用ワークスペースです。現在は Premiere(Beta)に搭載されていて、全 Premiere サブスクライバーが追加費用なしで試せる公開ベータとして提供中。正式リリースは2026年内の予定です。
ポイントは、これが「Lumetri のアップデート」ではないこと。既存機能の改修ではなく、ゼロから設計し直した独立のカラー環境です。Adobe いわく、3年以上かけて400人を超える現役エディターの声を反映して開発したとのこと。片手間の新機能ではなく、10年使ってきた看板を丸ごと作り直すレベルの本気度なんですよ。
背景も少し補足しておくと、ここ数年の映像業界では「編集は Premiere、カラーは DaVinci Resolve」という分業が半ば定着していました。Color Mode は、その「カラー工程だけ他ソフトへ流れていく」状況に対する Adobe の回答と見るのが自然です。
ワークスペースは大きく3つの要素で構成されます。
- Color Monitor:グレーディング評価用の大きなプレビューモニター
- Clip Grid:シーケンス内のクリップをサムネイル一覧で表示。ショット間の移動・比較が速い
- Color Controls:実際に色を調整するパネル。調整を「レイヤー」として積み上げる構造
さらに内部処理は 32bit float 精度で、ハイライトやシャドウの階調が意図せず切り捨てられる「クリッピング」が起きにくい設計です。ここは Lumetri 時代に泣かされてきた部分なので、次の見出しで詳しく触れます。
ちなみに Color Mode は NAB 2026 の会場でも評価されていて、Videomaker の「Best Software Update」を受賞しています。Adobe は AI によるカラー補正(Firefly のセマンティックカラー補正)も並行して進めていて、2026年の Adobe は明らかに「色」へ投資している流れです。
2. Color Mode と Lumetri の違い3点|Premiere カラーグレーディングはどう変わる?
「で、Lumetri と何が違うの?」を3点に絞ります。
違い1:処理精度が32bit floatになった
Lumetri は約10年前、Adobe が買収した SpeedGrade をベースに作られた仕組みです。当時としては十分でしたが、HDR・広色域・Log 撮影が当たり前になった今の素材に対して、内部処理の精度が追いついていませんでした。
Color Mode は32bit float 処理が前提。強めに露出を持ち上げてもハイライト情報が破綻しにくいのは、Log 素材を日常的に扱う MV 屋には素直にうれしい変化です。
違い2:「パネル」ではなく「モード」になった
Lumetri は編集画面の横に出すパネルでした。Color Mode はヘッダーのタブで切り替える、画面全体を使うカラー専用モードです。DaVinci Resolve の「カラーページ」に発想が近く、編集の頭とカラグレの頭をタブひとつで切り替えられます。
違い3:調整を「レイヤー」として積む構造になった
Lumetri は基本補正からビネットまでを1つのエフェクト内で完結させるスタック型でした。Color Mode の Color Controls は、1つ1つの調整をレイヤー(ノードに近い概念)として積み上げていく構造です。「ノーマライズ→ルック→仕上げ」を分けて管理する、カラリスト的な考え方をそのまま持ち込めます。
なお、Lumetri Color エフェクト自体は廃止されず、エフェクトブラウザに残っています。既存プロジェクトが開けなくなる話ではないので、そこは安心して大丈夫ですよ。一方で Lumetri パネルは Color Management パネルに置き換えられているので、画面の見た目はかなり変わります。
Lumetri Color エフェクトは併存。既存プロジェクトは慌てなくてOK。
変わるのはパネルまわりで、Lumetri パネルは Color Management パネルに置き換わっています。エフェクトとしての Lumetri Color は今まで通り使えます。
Lumetri の基本操作は Lumetri カラーの基本で解説しています。露出→ホワイトバランス→彩度という調整の順番は Color Mode でもそのまま活きるので、カラー補正が初めての人はセットで読むのがおすすめです。

3. Premiere Color Mode 公開ベータの有効化手順3ステップ
Color Mode を試すまでの手順です。ベータといっても特別な申請は不要で、インストール待ちを入れても15分ほどで触れる状態になります。
ステップ1:Creative Cloud アプリから Premiere(Beta)をインストール
Creative Cloud デスクトップアプリを開いて、左メニューの「アプリ」→「ベータ版アプリ」を選択。一覧から Premiere(Beta)をインストールします。
ベータ版は製品版とは別フォルダにインストールされるので、今使っている製品版 Premiere とそのまま共存できます。既存環境が上書きされる心配はないですよ。
ステップ2:Premiere(Beta)でシーケンスを開く
Premiere(Beta)を起動してプロジェクトを開き、タイムラインでシーケンスをアクティブにします。
ここで1つだけ注意。進行中の案件プロジェクトをそのままベータで開くのはやめておきましょう。ベータ版で保存したデータの互換性トラブルは定番の事故です。検証には、プロジェクトのコピーか捨てシーケンスを使ってみてください。
ベータ検証は「コピーか捨てシーケンス」が鉄則。
製品版とは別フォルダに入る共存環境なので、検証用プロジェクトさえ分けておけば安全に試せます。
ステップ3:ヘッダーの「Color」タブを選択
シーケンスを開いた状態で、画面上部ヘッダーの「Color」タブをクリックすると Color Mode が起動します。編集に戻るときもタブを切り替えるだけ。この行き来の軽さが「モード」設計の良さです。

4. Color Mode の基本的な使い方|双方向コントロールとリアルタイム調整
Color Mode の基本ループはシンプルで、「Clip Grid でクリップを選ぶ→Color Controls で調整→Color Monitor で確認」の繰り返しです。
Clip Grid はフィルタ・ソート・グルーピングに対応していて、行表示とグリッド表示も切り替えられます。長いタイムラインでも目的のショットへすぐ飛べる設計です。
Color Controls 側では、選択中のクリップにかけた調整が1つずつレイヤーとして並びます。「どの調整を、どの順番でかけたか」が一覧で見えるので、「ルックは残して露出だけ戻したい」といった部分修正に強い構造です。クライアント修正の多い人ほど効いてくるはず。
双方向コントロール(bi-directional)が操作の核
Color Mode の操作系でいちばん特徴的なのが双方向コントロールです。多くのコントロールが「マウスの上下」と「左右」で別のパラメータを同時に動かせる仕様になっています。
1回のドラッグで「上下=明るさ、左右=色味」のように2軸を同時に追い込めるイメージです。片方の軸だけ動かしたいときは Shift を押しながらドラッグすると単軸に固定できます。
スライダーを1本ずつ触っていた Lumetri と比べると、「色を数値で置きに行く」から「色を手で探る」への転換です。トラックボールに慣れたカラリストの感覚を、マウス操作に翻訳した設計だと理解しています。
リアルタイム調整は GPU で担保
調整はプレビューへリアルタイムに反映される設計で、NVIDIA RTX 系など GPU アクセラレーション前提でパフォーマンスが作られています。逆に言うと、GPU が非力なマシンだと快適さは大きく落ちるはずです。ベータを試すなら、スペックに余裕のあるマシンでどうぞ。
MV 屋として想定している使い方はこうです。イントロ・A メロ・サビの代表カットを Clip Grid で並べて、双方向コントロールでベースの露出と色温度をサッと合わせる。「並べて・比べて・その場で直す」が1画面で回るのは、Lumetri のパネル往復と比べて明確にテンポが良さそうなんですよね。

5. Color Mode のクリップ/グループ/シーケンス適用の考え方
Color Mode では、調整を当てる単位を「クリップ」「グループ」「シーケンス」の3階層で考えます。ここの整理が、カラーグレーディングの仕上がりと作業速度を分けるポイントです。
- クリップ単位:カットごとの露出・ホワイトバランス合わせ(ノーマライズ)
- グループ単位:Clip Grid でまとめたショット群への一括調整。同じシーン・同じ照明のカットを揃える
- シーケンス単位:全体にかけるルック(スタイル)。作品のトーンを決める仕上げ
僕の想定運用はシンプルで、「揃えるのはクリップとグループ、作るのはシーケンス」です。
MV なら、まずクリップ単位で全カットの露出を平らに揃える。次に「サビの屋外カット」「B メロの室内カット」のようなくくりでグループ化して、シーンごとの色をまとめて調整。最後にシーケンス全体へルックを1枚かけて世界観を決める、という3段構えです。
数字で言うと、尺3〜4分の MV でカット数は80〜120本くらいが相場です。全カットを個別に追い込むのは現実的ではないので、グループ単位の一括調整がどれだけ効くかが、そのまま作業時間を決めます。3階層を意識するだけで、カラグレの段取りは見違えますよ。
これ、DaVinci Resolve でいう「クリップノード→グループ→タイムラインノード」とほぼ同じ考え方なんですよ。Resolve で身につけた段取りを Color Mode にそのまま輸入できるのは、両方使う人には地味に大きいメリットです。
逆に注意点として、先にシーケンス全体へ濃いルックをかけてからクリップを触り始めると、修正が連鎖して沼ります。順番は「個→群→全体」。ここは Lumetri でも DaVinci でも変わらない鉄則です。


Color Modeが来たなら、もうDaVinci要らないの?
6. Premiere Color Mode と DaVinci Resolve の使い分け
「Color Mode が来たなら、もう DaVinci は要らない?」——現時点の僕の答えは、「案件によっては要らなくなる。でも全部は置き換わらない」です。
Color Mode で完結できそうな案件
- YouTube・SNS 向け動画、企業 VP など、編集7:カラー3くらいの比重の案件
- 納期が短く、ソフト間を往復する時間すら惜しい案件
- 編集者が1人でカラーまで巻き取る、小規模〜中規模の制作
コスト面の補足をすると、Color Mode は Premiere を含む Creative Cloud プランに含まれていて、追加費用なしで使えます。すでに Premiere で編集している人なら、増えるのは学習コストだけです。
このゾーンでは、XML 書き出し→Resolve でグレーディング→書き戻し、の工程がまるごと消えるインパクトが大きいです。往復時の「テロップが消えた」「速度変更が化けた」みたいな事故、経験ある人は多いじゃないですか。あの心労が構造的になくなります。
DaVinci Resolve が残る領域
- ノードを深く組む本格的なグレーディング
- Power Window・トラッキング・Magic Mask 級の切り抜きを多用する画作り
- カラリストが別にいる分業体制の案件(グレーディングの業界標準は依然 Resolve)
執筆時点のベータでは、セカンダリー系の作り込みや周辺ツールの厚みはまだ Resolve に分がある印象です。「日常のカラーは Color Mode、勝負の画作りは Resolve」という使い分けが、当面の現実解だと思います。無理にどちらかへ寄せなくていいんですよ。
日常のカラーは Color Mode、勝負の画作りは Resolve。
編集の流れの中で色まで完結させたい案件は Color Mode、ノードを深く組む画作りは Resolve。工程の重さで分けると迷いません。
DaVinci 側の手順は DaVinci Resolve のカラーグレーディング手順に、ソフトを問わないカラグレの理論はカラーグレーディング完全ガイドにまとめています。理論を先に押さえておくと、新 UI でも迷いません。
7. Color Mode のつまずき3パターン
先回りして、つまずきやすいポイントを3つ挙げておきます。
つまずき1:製品版 Premiere に Color タブが見つからない
執筆時点の Color Mode は Premiere(Beta)だけの機能です。製品版をいくら探しても出てきません。Creative Cloud アプリの「ベータ版アプリ」から Premiere(Beta)を入れているか、まず確認してみてください。
なお、ベータは更新頻度が高く、UI や機能の位置が数週間単位で変わることがあります。この記事の説明と実際の画面が多少違っても慌てず、公式のリリースノートをあわせて確認するのがおすすめです。
つまずき2:「Lumetri パネルが消えた」と焦る
ベータ版では Lumetri パネルが Color Management パネルに置き換わっています。パネル一覧に Lumetri がなくて焦るやつです。前述の通り Lumetri Color は「エフェクト」としては残っているので、エフェクトブラウザのカラー補正カテゴリから今まで通り適用できます。
つまずき3:双方向コントロールで狙った軸だけ動かせない
慣れないうちは、「明るさだけ変えたいのに色まで動いてしまう」が起きがちです。単軸で動かしたいときは Shift を押しながらドラッグ。これを体が覚えるまでは、双方向がむしろストレスに感じるはずです。最初の1〜2時間は練習と割り切りましょう。
8. Premiere Color Mode が合う人・合わない人
合う人
- Premiere で編集からカラーグレーディングまで1本で完結させたい人
- Resolve とのラウンドトリップ(往復書き出し)に疲れている人
- Log 素材を扱っていて、Lumetri のクリッピングに不満がある人
- 正式リリース時にスタートダッシュできるよう、先回りで触っておきたい人
合わない人
- 進行中の案件環境を1ミリも変えたくない人(正式リリースを待つのが賢明です)
- ノード主体の本格グレーディングが主戦場の人(現状は Resolve が向いています)
- GPU が非力なマシンの人(リアルタイム調整の恩恵を受けにくい)
9. まとめ|Premiere Color Mode は「編集の中で色が完結する」新環境
Premiere Color Mode の使い方とポイントをまとめます。
- NAB 2026(2026年4月15日)発表の10年ぶりカラー刷新。全サブスクライバー向け公開ベータで、正式リリースは2026年内予定
- Color Monitor/Clip Grid/Color Controls の3点構成+32bit float 処理
- 操作の核は双方向コントロール(Shift で単軸固定)とリアルタイム調整
- 調整はクリップ→グループ→シーケンスの3階層。順番は「個→群→全体」
- Lumetri Color エフェクトは残るので、既存プロジェクトは慌てなくて OK
- 本格ノードワークは引き続き Resolve。日常のカラーグレーディングから Color Mode に置き換えていくのが現実的
Premiere のカラーグレーディングが「Lumetri で我慢する時間」から「編集の流れの中で楽しめる時間」に変わるかもしれない——公開ベータの段階でも、そう期待させる設計です。正式リリースで一気に広まる前に、捨てプロジェクトで一度触っておいて損はないですよ。
これできっと、色作りがもっと身近になるはずです!
