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DaVinci Resolve速度変更!リタイムの使い方4ルート

DaVinci Resolve 速度変更のやり方とリタイムコントロールの使い方を解説するアイキャッチ画像
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DaVinci Resolveでスローモーションを作りたくて調べたんですが、「インスペクタでやる」って書いてある記事と「リタイムコントロールを出す」って書いてある記事があって、どっちが正しいのか分からなくなりました…。あと日本語版だとメニューの名前が違う気がして、余計に迷ってます。

わかります。僕も今日あらためて公式ドキュメントを開き直して、途中で「あ、これ迷って当然だわ」と納得しました。

先に結論から。DaVinci Resolveの速度変更には大きく4つのルートがあって、どれが正しいというより「やりたいことで使うルートが変わる」だけです。だから記事によって説明が食い違って見えるんですよ。

そしてもうひとつ、今日いちばん伝えたいところ。日本語の公式ビギナーズガイド(DaVinci Resolve 20・627ページ)が説明しているのは、インスペクタの「速度変更」コントロール1ルートだけです。残りのルートは、英語のリファレンスマニュアルにしか載っていません。

この記事は2026年9月3日に、Blackmagic Designが配布している日本語のビギナーズガイドと英語のリファレンスマニュアル21を実際に開いて、該当ページを読みながら書いています。公式に書いてあることと、公式に書いていないことを、はっきり分けて提示します。

DaVinci Resolveというソフト全体の地図がまだ頭にない人は、先にDaVinci Resolveの使い方 完全ガイドを眺めてから戻ってくると、この記事の位置づけがつかみやすいと思います。

この記事でわかること
  • DaVinci Resolveの速度変更が4ルートに分かれている理由と、目的別の選び分け
  • 日本語の公式ガイドに載っている、インスペクタの「速度変更」を使う手順(唯一の日本語確定ルート)
  • Change Clip Speedダイアログで指定できる項目と、キーフレームの扱いが変わるスイッチ
  • リタイムコントロールの出し方、速度矢印の色と間隔の読み方
  • 1本のクリップの中で速度を変える(可変速・フリーズフレーム・巻き戻し・スピードランプ)方法
  • 2種類のリタイムカーブの違いと、片方では逆再生を作れないという公式の記述
  • スローがカクつく・ブレるときに触る処理方式(Retime Process)とモーション推定の設定
  • 速度変更したときの音声の扱いと、WindowsとMacで初期挙動が違うという公式の記述
  • 公式の中で食い違っている点/日本語では確認できない点の一覧
Contents
  1. 1. DaVinci Resolveの速度変更は4ルートある|まず選び分けを押さえる
  2. 2. 【日本語公式どおり】インスペクタの「速度変更」でクリップの速度を変える手順
  3. 3. DaVinci Resolveの速度変更ダイアログ(Change Clip Speed)でできること
  4. 4. DaVinci Resolveの速度変更をタイムラインで扱う|リタイムコントロールの出し方と矢印の読み方
  5. 5. 1本のクリップの中で速度変更する|スピードポイントで可変速とフリーズフレームを作る
  6. 6. DaVinci Resolveの速度変更をカーブで扱う|Retime SpeedとRetime Frameの違い
  7. 7. DaVinci Resolveの速度変更でスローがカクつくときのRetime Process設定
  8. 8. DaVinci Resolveで速度変更したときの音声の扱い|可変速の音はミュートされる
  9. 9. 【検証】DaVinci Resolveの速度変更で公式の記述が食い違う点・日本語で確認できない点
  10. 10. 【実体験】現役MVクリエイターがDaVinci Resolveの速度変更をどう使い分けているか
  11. 11. DaVinci Resolveの速度変更についてよくある質問
  12. 12. まとめ|DaVinci Resolveの速度変更が合う人・合わない人と使い分けの結論

1. DaVinci Resolveの速度変更は4ルートある|まず選び分けを押さえる

DaVinci Resolveの速度変更は、入口が4つあります。どれもタイムライン上のクリップの再生速度を変える機能ですが、できることの範囲がはっきり違います。

DaVinci Resolve 速度変更の4ルートを比較した図解
本文1章の選び分けに対応:インスペクタ/Change Clip Speedダイアログ/リタイムコントロール/リタイムカーブの4ルートと、それぞれ向いている作業

まず全体像です。クリップ全体を一律に速くする・遅くするだけなら、インスペクタかダイアログの2ルートで足ります。1本のクリップの途中で速度を変えたくなった瞬間に、残りの2ルートが必要になります。

ルートできること公式の記載
インスペクタの「速度変更」クリップ全体を一律に変速。パーセント/fps/尺で指定日本語ガイド・英語マニュアルの両方
Change Clip Speedダイアログ同上+逆再生・フリーズフレーム・ピッチ補正・キーフレームの扱い英語マニュアルのみ
Retime Controls(リタイムコントロール)クリップの中に区切りを打って可変速を作る英語マニュアルのみ
Retime Curves(リタイムカーブ)速度の変化をカーブで細かく整える英語マニュアルのみ
DaVinci Resolve 20 ビギナーズガイド(日本語)およびDaVinci Resolve 21 リファレンスマニュアル(英語)を2026年9月3日に確認して作成

この表の右端が、この記事のいちばん大事な部分です。4ルートのうち、日本語の公式ドキュメントで説明されているのはインスペクタの「速度変更」だけでした。

やりたいことから逆算する選び分け

迷ったときは、この順番で考えるとほぼ外しません。

  • クリップ全体を40%のスローにしたい → インスペクタの「速度変更」
  • 指定した尺にぴったり収めたい/逆再生にしたい → Change Clip Speedダイアログ
  • サビ頭だけ落として、その後で加速させたい → Retime Controls
  • 速度の切り替わりをフレーム単位で詰めたい → Retime Curves
  • カットページで作業している → インスペクタの「速度変更」(このルートだけカットページでも使えると公式に明記)

最後の1行は地味に効きます。英語マニュアルはインスペクタのルートについて「This method has the benefit of being available in both Cut and Edit pages」と書いていて、カットページとエディットページの両方で使えるのがこのルートの利点だと明記しています。

逆に言うと、リタイムコントロールはタイムライン上の機能として説明されています。カットページで作業していて「リタイムの表示が出ない」となったら、まずページを確認してみてください。

ほかにも速度効果の作り方はある

厳密にいうと、英語マニュアルは速度効果の作り方をもう少し広く挙げています。EDL/AAF/XMLからの読み込み、指定した尺に合わせる編集(Fit to Fill)、そしてクリップ全体をフリーズフレームにする操作。

ただ、自分の手で「ここをスローにする」という作業に直結するのは、上の4ルートです。この記事はそこに絞って書いていきます。

2. 【日本語公式どおり】インスペクタの「速度変更」でクリップの速度を変える手順

DaVinci Resolveの速度変更で最初に覚えるのは、インスペクタの「速度変更」コントロールです。日本語の公式ガイドが唯一手順つきで説明しているのが、このルートになります。

DaVinci Resolve 速度変更をインスペクタで行う4ステップの図解
本文2章のSTEP1〜STEP4に対応:インスペクタを開く→下部までスクロール→「速度変更」を展開→方向を確認してパーセントを入力

公式ガイドの導入文はこうです。「クリップがタイムラインで再生される速度を調整する方法はいくつかありますが、最も簡単な方法のひとつが、インスペクタの『速度変更』コントロールです」。

公式自身が「方法はいくつかある」と前置きしたうえで、そのうちの1つだけを説明しているという構図ですね。ここを知っておくと、他の解説記事との食い違いに振り回されずに済みます。

STEP1|インスペクタを開く

タイムラインで速度を変えたいクリップを選び、インターフェース右上の「インスペクタ」ボタンをクリックします。ここは日本語ガイドにそのまま書かれている表記です。

STEP2|インスペクタの下部までスクロールする

インスペクタは項目が縦に長いので、下までスクロールします。右上の「拡大」ボタンを押すと、インスペクタを縦に広げて一覧しやすくできます。

並び順の感覚をつかんでおくと探しやすいです。ガイドの説明では「ズーム」「位置」「回転」といったコントロールがあり、その下に「速度変更」、さらに下に「スタビライゼーション」が続く構成になっています。

STEP3|「速度変更」セクションをクリックして開く

ここでつまずく人がけっこう多いはずです。初期状態では「速度変更」コントロールは折り畳まれています。ガイドにも「現在、インスペクタのスペースを節約するために『速度変更』コントロールは折り畳まれています」と明記されています。

つまり、見出しだけがあって中身が見えていない状態。「速度変更」の文字をクリックすると、その下にコントロール一式が展開されます。「インスペクタに速度の項目がない」と思ったら、まずここを疑ってみてください。

STEP4|方向を確認してパーセントを入力する

展開したら、まず「方向」の矢印を見ます。矢印が右を向いていれば順方向の再生です。

そのうえで速度のパーセントを変えます。ガイドの例では、パーセントホイールを左にドラッグして40.00に設定すると、元の40%の速度で再生される、という説明になっています。

ただ、ドラッグで狙った数字にぴったり止めるのは正直しんどいです。ガイドも作業のこつとしてこう書いています。「調整をよりすばやく正確に行うには、『速度変更』のパーセント欄に40と入力して『Enter』または『Return』を押します」。

数値を直接打ち込む。これが実務では圧倒的に速いです。50%、25%、200%みたいなキリのいい数字なら、なおさら入力のほうが確実ですよ。

速度を変えたクリップの見分け方

速度を変えると、タイムラインのクリップのアイコンに、速度変更が適用されたことを示すアイコンが表示されます。ガイドにそう書かれています。

早回しも同じコントロールでできる

スローだけでなく早回しも同じ場所です。ガイドには「同じ『速度変更』コントロールのパーセンテージ値を100%以上に設定し、クリップの再生速度を元の速度より上げることもできます」と書かれています。

100%より下ならスロー、100%より上なら早回し。境界は100%です。ここはシンプルですね。

英語マニュアル側にはもう少し項目がある

同じインスペクタのコントロールについて、英語のリファレンスマニュアルはもう少し細かく書いています。

  • Direction:forward(順方向)/backward(逆方向)/freeze frame(静止)を選ぶ
  • Speed %:速度のスライダー。この値はキーフレームを打てる
  • Frames Per Second:fpsを上下させて速度を変える。こちらもキーフレームを打てる
  • Duration:HH:MM:SS:FF形式で尺を直接指定すると、全フレームがその尺に収まる速度へ自動調整される
  • Ripple Sequence/Pitch Correction のチェックボックス

ここで面白いのは、Speed %とFrames Per Secondはキーフレーム可能だと公式が書いている点です。つまりインスペクタ側だけでも、理屈のうえでは速度を時間で動かせます。

ただしこれらの英語名が日本語版でどう表示されるのかは、日本語の公式ドキュメントで確認できませんでした。日本語で確定できるのは「速度変更」「方向」「インスペクタ」「拡大」までです。

3. DaVinci Resolveの速度変更ダイアログ(Change Clip Speed)でできること

DaVinci Resolveの速度変更をもう一段細かく指定したいときに開くのが、Change Clip Speedダイアログです。インスペクタにない項目がここに集まっています。

入口は2つ。メニューのClip > Change Clip Speed、またはタイムラインでクリップを右クリックしてChange Clip Speedです。

なおこのダイアログ名が日本語版でどう表示されるかは、公式の日本語ドキュメントでは確認できませんでした。以降も英語名で書いていきます。

速度の指定は3通りある

公式によると、速度はパーセント/フレームレート/デュレーションのいずれでも指定できます。この3つは同じ結果を別の切り口で入力しているだけです。

MVだと「この2小節にこのカットを収めたい」という考え方をよくします。そういうときはパーセントで探るより、デュレーションで尺を直接指定したほうが早いです。

Ripple Sequence|後ろのクリップを動かすかどうか

速度を変えるとクリップの長さが変わります。そのときRipple Sequenceにチェックを入れると、後続のクリップが押し出されたり引き寄せられたりします。

逆にチェックを外していれば、後ろは動きません。音に合わせて組んだタイムラインでこれをうっかりオンにすると、以降のカット割りが全部ずれます。ここは毎回確認するクセをつけたほうがいいです。

Reverse Speed|逆再生にする

逆再生はここが分かりやすい入口です。Reverse Speedのチェックボックスをオンにすると、速度が負の値になって逆再生になります。

Freeze Frame|クリップ全体を静止画にする

Freeze Frameにチェックを入れると、再生ヘッドの位置のフレームで、クリップ全体が静止します。

ダイアログを開かないやり方も公式に書かれています。再生ヘッドを置いてClip > Freeze Frame、またはShift-R。こちらもクリップ全体がそのフレームのフリーズになります。

解除の方法は2つ。Remove Attributesダイアログで速度効果を削除するか、Change Clip Speedダイアログのフリーズフレームのチェックを外すかです。

「元に戻せない」と思って作り直す人がいますが、公式にちゃんと戻し方が書かれています。慌ててクリップを差し替える前に、この2つを試してみてください。

ショートカットのShift-Rは英語マニュアルの表記です。Windows版でどのキーになるかは原文に併記がなかったので、ここは断定しません。

Maintain Timing と Stretch to fit|キーフレームの扱いが変わる

ここは見落とされがちですが、後戻りの手間に直結する項目です。ダイアログにはMaintain TimingとStretch to fitのラジオボタンがあります。

Maintain Timingは、クリップ内のキーフレームを元の位置に固定したままにします。速度を変えてもキーフレームのタイミングは動きません。

一方のStretch to fit(公式の説明文ではStretch Keyframesと書かれています)は、Composite・Transform・Croppingのキーフレームを、クリップと同じ割合で圧縮・伸長します。速度に合わせてキーフレームも一緒に伸び縮みする挙動ですね。

拡大縮小のアニメーションを作り込んだクリップをあとから減速させると、この設定次第で動きの見え方がまったく変わります。作り込んだあとに速度をいじるときは、ここを意識してみてください。

複数クリップをまとめて変えられる

地味に助かる仕様として、複数のクリップを選んで一度に速度を変えることができます。これはインスペクタでもChange Clip Speedダイアログでも可能だと公式に書かれています。

Bロールを10カット並べて全部を50%にしたい、みたいな作業がまとめて終わります。1本ずつ入力し直していた人は、ここだけでも時短になりますよ。

4. DaVinci Resolveの速度変更をタイムラインで扱う|リタイムコントロールの出し方と矢印の読み方

DaVinci Resolveの速度変更を「クリップの中で」やりたくなったら、ここからが本番です。リタイムコントロールを出すと、タイムライン上で直接リタイムを扱えるようになります。

出し方は2つ。クリップを選んでClip > Retime Controls(Command-R)、または右クリックしてRetime Clipです。

Command-Rは英語マニュアルの表記で、Windowsでのキー表記は原文に併記がありませんでした。Ctrlに読み替えられそうな気はしますが、公式に書かれていない以上ここは断定しません。

リタイムコントロールの画面構成

表示すると、クリップの見た目が変わります。構成はこうです。

  • クリップ上部を走るリタイムコントロールトラック(再生速度と方向を示す矢印が並ぶ帯)
  • クリップ下部中央のClip Speedポップアップメニュー(現在の速度も表示される)

上の帯が「いま何が起きているか」の表示、下のメニューが「操作の入口」と覚えると迷いません。

速度矢印の色と間隔を読む

ここがリタイムコントロールのいちばん気持ちいいところです。公式は矢印の読み方をはっきり書いています。

DaVinci Resolve 速度変更のリタイム矢印の色と間隔の読み方を示した図解
本文4章の速度矢印の読み方に対応:100%未満は黄色で間隔が広い/100%は青で等間隔/100%超は青で詰まる/左向きの青は逆再生
矢印の見え方意味
黄色の三角が間隔広く並ぶ100%未満(スローモーション)
青の三角が等間隔に並ぶ100%(等速)
青の三角が詰まって並ぶ100%超(早回し)
青の矢印が左を向く逆再生
DaVinci Resolve 21 リファレンスマニュアル Chapter 58「Speed Effects」の記述をもとに作成

黄色ならスロー、青なら等速以上。矢印の間隔が広いほど遅く、詰まっているほど速い。この2軸だけ覚えておけば、数値を確認しなくても見た目で状態がわかります。

クリップ全体をリタイムする3つのやり方

リタイムコントロールを出した状態で、クリップ全体の速度を変える方法も公式に書かれています。

  • ドラッグ:クリップ上部のSpeed Change name barの左右の端にポインタを合わせ、リタイム用のカーソルに変わったらドラッグして伸縮させる
  • 数値で指定:Command-Rで表示し、速度%の横のポップアップからChange Speedサブメニューを開いて選ぶ
  • 逆再生:同じポップアップのreverse segmentを使う

やり直したくなったら、ポップアップのReset to 100%で元の速度に戻せます。触りすぎて分からなくなったときの避難先として覚えておくと安心です。

リタイムでクリップの長さが変わったとき、後ろのクリップが動くかどうかは、選んでいるツールで決まります。

公式の説明では、Selection tool/modeではリップルせず、Trim tool/modeではリップルします。つまり同じ操作をしても、ツールの状態次第でタイムライン全体への影響がまったく変わるということ。

「なぜか後ろのカットが全部ずれた」という事故は、ここが原因のことが多いはずです。リタイムに入る前に、いま何のツールを握っているか一度見ておいてください。

閉じ方と、閉じたあとの見分け方

リタイムコントロールの閉じ方は3通り。Retime control box左上のXボタン、Escapeキー、そしてクリップを選んでClip > Retime Controls(Command-R)をもう一度です。

ここで安心できるのが、公式が「閉じてもタイミングには影響しない」とわざわざ書いている点。誤操作でタイミングが変わらないよう配慮された設計だと説明されています。

閉じたあとのクリップには、タイムライン上のクリップ名の左にリタイムバッジが付きます。どのクリップにリタイムをかけたかは、これで後から判別できます。

ここまでは分かりました。でも僕がやりたいのは「クリップの前半だけスロー、後半で通常速度に戻す」みたいな動きなんです。それってどこでやるんですか?

そこがまさに次の章です。1本のクリップの中で速度を切り替えるには、スピードポイントという区切りを打ちます。

5. 1本のクリップの中で速度変更する|スピードポイントで可変速とフリーズフレームを作る

DaVinci Resolveの速度変更で、1本のクリップの中に速度の切り替わりを作る操作がここです。区切りとなるスピードポイントを打って、その間の速度を個別に決めていきます。

可変速の基本|スピードポイントを2つ以上打つ

手順は公式の説明どおりです。リタイムコントロールを出した状態で、Clip SpeedポップアップからAdd Speed Pointを2箇所以上に打ちます。

そのあとが本番。2つ目のスピードポイントの「上のハンドル」を右へドラッグすると減速、左へドラッグすると加速します。このときクリップ全体の長さも変わります。

上のハンドルと下のハンドルは役割が違う

ここは知らないとまず迷う部分なので、はっきり分けておきます。

  • 上のハンドル:ドラッグすると速度そのものが変わる(右で減速/左で加速)。クリップ長も変わる
  • 下のハンドル:ドラッグすると、その速度で再生される範囲が広がる。前後からフレームを再配分する形になる

「速さを変えたい」なら上、「その速さで見せる長さを変えたい」なら下。この使い分けを覚えると、狙った絵に一発で寄せられるようになります。

スピードポイントを消したいときはClear Speed Pointです。対象になるのは、そのポップアップの左側にあるスピードポイントだと公式に書かれています。どれが消えるか分からず連打すると余計に崩れるので、ここは覚えておいてください。

速度の変わり目は自動でイーズされる

ここは知っておくと安心できるところです。公式は「The change in speed from each speed segment to the next is automatically eased」と書いています。

つまり速度セグメントから次のセグメントへの変化は、自動的にイーズがかかります。100%から30%へ、カクンと切り替わるのではなく、なめらかに落ちてくれるということですね。

逆に言えば、「切り替わりを瞬間的にしたい」場合は自動イーズが邪魔になる可能性があります。そこを詰めたいときは、次章のリタイムカーブへ進む流れになります。

途中のフリーズフレームを作る

クリップの途中で一瞬止める、あの表現もここで作れます。手順は公式どおり。

  • リタイムコントロールを表示する
  • 止めたいフレームに再生ヘッドを合わせる
  • Clip SpeedポップアップからFreeze Frameを選ぶ
  • スピードポイントが2つ追加され、リタイムコントロールトラックに赤い縦バーが表示される
  • 2つ目のスピードポイントをドラッグして、止める長さを決める

赤い縦バーがフリーズしている区間の目印です。長さはあとからドラッグで調整できるので、まず作ってから詰めれば大丈夫ですよ。

Rewind|高速で巻き戻してもう一度見せる

Clip SpeedポップアップにはRewindというサブメニューがあります。これがなかなか面白い挙動です。

公式の説明では、現在のセグメントの後ろにスピードポイントが2つ追加され、選んだパーセントで高速の逆再生が入り、そのあともう一度頭から再生されるという効果になります。

ダンスの決めポーズを1回見せて、巻き戻して、もう1回見せる。MVでよく見るあの尺の稼ぎ方が、メニュー1発で組めるということですね。

Speed Ramp|5段階の変速を一発で入れる

もうひとつがSpeed Rampサブメニュー。選択肢は2つ用意されています。

内容は明快で、現在の速度効果を10% → 30% → 50% → 70% → 90%の5セグメントに置き換えます。段階的に加速していくランプが、選ぶだけで入る形です。

注意点は「置き換える」という点。すでに手で組んだ可変速がある状態で選ぶと、それが5セグメントの構成に置き換わります。作り込んだあとに気軽に押す機能ではないですね。

とはいえ、ゼロから作るときの叩き台としては優秀です。まずSpeed Rampで骨組みを入れて、そこから各セグメントを手で詰めるという進め方が現実的だと思います。

6. DaVinci Resolveの速度変更をカーブで扱う|Retime SpeedとRetime Frameの違い

DaVinci Resolveの速度変更を、グラフで細かく整えるのがリタイムカーブです。スピードポイントで作った変化を、さらに詰めたいときに使います。

出し方は公式によるとこうです。タイムラインでクリップを選択 → 上部のKeyframesタブ → Keyframe Curvesアイコン → パラメーター一覧からRetime Speed または Retime Frame を選ぶ。

そしてうれしい仕様がひとつ。カーブの制御点は、リタイムコントロールのスピードポイントと1対1で対応しています。両方表示していれば、片方での編集がもう片方に反映されます。

Retime Frameカーブ|縦軸が素材、横軸がタイムライン

Retime Frameカーブは、斜めの直線として表示されます。いわゆるタイムグラフですね。

軸の意味はこうです。縦軸がソース素材のフレーム、横軸がタイムライン上の再生フレーム。既定の対角線が100%です。

読み方も公式に整理されています。

  • 左の制御点が右の制御点より低い → 順方向の再生
  • 長くて緩いセグメント → スローモーション
  • 短くて急なセグメント → 早回し
  • 左の制御点が右より高い → 逆再生

傾きが緩いほど遅く、急なほど速い。グラフの見た目がそのまま速度になっているので、慣れると直感的に読めます。

Retime Speedカーブ|制御点ではなくセグメントをドラッグする

もう一方のRetime Speedカーブは、100%を表す水平線として表示されます。操作の作法がFrame側と違うので、そこだけ注意です。

制御点は対で追加し、動かすのは制御点ではなくセグメント自体です。セグメントを上げると短くなって加速、下げると長くなって減速します。

Retime Speedカーブでは逆再生を作れない

ここがこの章でいちばん実害の出るポイントです。公式がはっきり書いています。「it’s impossible to create reverse motion using the Retime Speed curve」。

つまりRetime Speedカーブでは逆再生を作れません。何時間粘っても、このカーブからは逆方向にならないということです。

逆再生をやりたいなら行き先は2つ。リタイムコントロール側(reverse segment)か、Retime Frameカーブで左の制御点を右より高くするかです。

「カーブで逆再生ができない」と悩んでいた人は、たぶん開いているカーブの種類が違うだけですよ。ここは公式が理由まで書いてくれている、ありがたい部分です。

7. DaVinci Resolveの速度変更でスローがカクつくときのRetime Process設定

DaVinci Resolveの速度変更でいちばん相談が多いのが、スローにしたらカクついた・ブレたという話です。ここは処理方式の設定で変わります。

DaVinci Resolve 速度変更の処理方式3種を比較した図解
本文7章のRetime Processに対応:Nearest/Frame Blend/Optical Flowの重さと画質、そしてOptical Flow選択時のモーション推定の3系統

設定できる場所は2箇所あると公式に書かれています。Project Settings > Master Settings の Frame Interpolation グループにあるRetime Process(プロジェクト全体)と、インスペクタの Retime and Scaling グループにあるRetime Process(クリップ単位)です。

クリップ単位の設定は既定が「Project Settings」。つまり初期状態では、全クリップがプロジェクト設定に従います。1本だけ処理を変えたいときにクリップ側を切り替える、という設計ですね。

3つの処理方式の違い

方式処理の中身重さ/画質
Nearest早回しはフレームを間引き、スローはフレームを複製するだけ最も軽く、最も単純
Frame Blend隣接する複製フレームをディゾルブで混ぜる軽いが滑らか
Optical Flowモーション推定で元素材から新しいフレームを生成する最も重く、最も高品質
DaVinci Resolve 21 リファレンスマニュアル Chapter 58「Speed Effects」の記述をもとに作成

スローがカクつく原因の多くはここです。Nearestはフレームを複製するだけなので、深いスローほどカクつきが目立ちます。滑らかさが欲しいなら、まずここを上げるのが第一手になります。

ただ、上げれば上げるほど良いというわけでもありません。ここが今日いちばん伝えたい部分です。

公式はOptical Flowについて「two moving elements crossing in different directions or unpredictable camera movement can cause unwanted artifacts」と書いています。異なる方向に交差する2つの動体や、予測できないカメラの動きは、望まないアーティファクトの原因になるということですね。

そして続けてこうも書いています。Optical Flowで不要なアーティファクトが出るときは、Frame Blendのほうが良い結果になる場合がある。

つまり「いちばん高品質な設定が、そのクリップにとっていちばん良いとは限らない」。これを公式が明言しているのは、けっこう大事なことだと思います。

Motion estimation mode|Optical Flowを選んだときだけ効く設定

Optical Flowを選ぶと、さらにモーション推定の方式を選べます。この設定も既定は「Project Settings」です。

  • Standard Faster/Standard Better:従来からある選択肢。軽く、たいていの場面で十分な品質
  • Enhanced Faster/Enhanced Better:Standardでアーティファクトが出るほぼ全ての場合で優れた結果。ただし計算量が増えて遅くなる
  • Speed Warp Faster/Speed Warp Better:DaVinci Neural Engineを使う、さらに高品質なスロー向けの方式

Speed Warpについて、公式は「理想的な条件ではEnhanced Betterより高画質でアーティファクトが少ない」と書いたうえで、「Your results with this setting will vary according to the content of the clip」=この設定での結果はクリップの内容によって変わると釘を刺しています。

さらに、各モーション推定の方式は「それぞれ違うアーティファクトを持ち、最高品質の選択肢が特定のクリップにとって常に最良とは限らない」と公式が明記しています。

ここまで書いてくれているソフトはなかなかないです。裏を返せば、スローの画質は「設定を上げる」ではなく「そのクリップで見比べる」で決めるものということですね。

実務での試し方

おすすめの手順はこうです。まずプロジェクト設定は軽い方式のまま作業を進める。編集が固まってから、スローを使ったクリップだけクリップ単位で方式を切り替えて見比べる。

最初から重い方式にしておくと、編集中ずっとプレビューが重くなります。設定の場所が2階層に分かれているのは、たぶんこの使い分けのためなんですよ。

ちなみにDaVinci Neural Engineまわりの機能は年々増えています。AI系の機能がどこまで来ているかはDaVinci Resolve 21のAI機能でまとめているので、興味があればそちらもどうぞ。

8. DaVinci Resolveで速度変更したときの音声の扱い|可変速の音はミュートされる

DaVinci Resolveの速度変更で意外と見落とされるのが、音の扱いです。ここは公式に明確な記述があるので、そのまま押さえておきましょう。

可変速をかけたら、そのクリップの音だけ聞こえなくなりました。バグですか?ミュートは押してないんですけど…。

それ、仕様です。公式にこう書かれています。「audio that accompanies variable speed effects will be muted」。

つまり可変速(バリアブルスピード)の効果を当てたクリップに付随する音声は、ミュートされます。設定ミスではなく、そういう挙動だということですね。

リニアな速度変更なら音も一緒に伸び縮みする

一方で、クリップ全体を一律に変える「リニア」な速度変更の場合は違います。公式の説明では、リニアな速度効果を作るどの方法でも、映像と一緒にクリップの音声もリタイムされます。

ここまでは想像どおりだと思います。問題は、そのときのピッチ補正がどうなるかです。

ピッチ補正の初期挙動がWindowsとMacで違う

ここは今回いちばん驚いた記述でした。公式の原文はこうです。「without pitch correction on Linux and Windows, and with pitch correction on Mac OS X (Yosemite and above)」。

訳すと、LinuxとWindowsではピッチ補正なし、Mac OS X(Yosemite以降)ではピッチ補正ありで音がリタイムされるという説明です。

同じプロジェクトを同じ設定で開いても、OSによって音の初期挙動が変わりうるということ。WindowsとMacを行き来している人は、ここを知らないとハマると思います。

僕自身、作業機は自作のWindowsで、出先ではM3 MacBook Airを使っています。この2台を行き来する運用だと、音を確認する環境は片方に固定しておくのが安全だと感じました。

Pitch Correctionは万能ではない

Change Clip SpeedダイアログにもインスペクタにもPitch Correctionのチェックボックスがあります。ただ、これも公式が正直に限界を書いています。

「pitch correction on large speed adjustments may not sound as good as pitch corrections made to small speed adjustments」。大きく速度を変えたときのピッチ補正は、小さく変えたときほど良い音にならない可能性があるという説明です。

感覚的にも納得できる話ですね。10%程度の微調整ならピッチ補正でごまかせるけれど、半分や倍まで動かすなら音は作り直すほうが早い。そう考えておくのが現実的だと思います。

9. 【検証】DaVinci Resolveの速度変更で公式の記述が食い違う点・日本語で確認できない点

ここまでDaVinci Resolveの速度変更を4ルートで見てきましたが、実は公式ドキュメントの側にかなりの偏りがあります。この章はその報告です。

日本語ガイド627ページで「リタイム」は2件だけ

今日、日本語のビギナーズガイド(DaVinci Resolve 20・全627ページ)を実際に開いて、語句を数えました。

語句日本語ビギナーズガイド20での出現数
速度変更10件
速度22件
逆再生2件
リタイム2件
リタイムコントロール0件
リタイムカーブ0件
オプティカルフロー0件
スローモーション0件
フリーズフレーム0件
変速0件
DaVinci Resolve 20 ビギナーズガイド(日本語・627ページ)を2026年9月3日に全文で検索した結果

数字を見ると一目瞭然です。「リタイムコントロール」「リタイムカーブ」「オプティカルフロー」「スローモーション」「フリーズフレーム」「変速」は、日本語の公式入門書に1件も出てきません。

「リタイム」の2件も、本文の解説というより目次・索引的な位置にあるものでした。日本語の公式が手順つきで教えているのは、インスペクタの「速度変更」ただ1ルートです。

だから「スローモーション DaVinci」で調べても、日本語の公式ドキュメントには行き着きません。あなたの検索が下手なわけじゃないんですよ。

日本語UIで断定できるのは4語だけ

この結果を踏まえて、この記事では表記のルールを決めています。

  • 日本語UIの表示名として断定するのは「速度変更」「方向」「インスペクタ」「拡大」の4つだけ
  • Retime Controls、Retime Curves、Change Clip Speed、Retime Process、Optical Flow、Speed Warp などは英語名のまま書く
  • これらの日本語版での表示名は、公式ドキュメントで確認できませんでした

日本語UIでの表示名を勝手に当てて書くと、読者がメニューを探して見つからないという事故になります。だからこの記事では、英語名を出して「確認できなかった」と書く方針にしました。

バージョンが揃っていない

もうひとつ、正直に書いておくべき点があります。日本語のビギナーズガイドはDaVinci Resolve 20向け、英語のリファレンスマニュアルは21向けです。

参照している2冊のバージョンが揃っていない、ということですね。現行版での再確認は未了である点は、はっきり書いておきます。

ただ、速度変更まわりの基本設計は世代でひっくり返る類のものではありません。手順の考え方は流用できると思いますが、メニューの位置や名称が変わっている可能性は残ります。

ショートカットのWindows表記も断定できない

本文で出てきたCommand-R(リタイムコントロール)とShift-R(フリーズフレーム)は、いずれも英語リファレンス21の表記です。

Windowsでの表記(Ctrl-R など)は原文に併記がなかったので、この記事では断定しません。使っている環境のメニューでキーの表示を確認してみてください。

無償版とStudioの境界について

「速度変更は無料版でも使えますか」という質問はよくあります。ここも慎重に書きます。

英語リファレンス21のSpeed Effectsの章を通しで読みましたが、無償版の制限についての記述は見当たりませんでした。つまり「Studio限定」と書かれた公式記述は確認できなかった、ということです。

ただしこれを根拠に「速度変更は無料版で全部使える」と断定することはしません。章に記述がないことと、機能が開放されていることは同じではないからです。

ウォーターマークが出るのか、無償版でどこまで使えるのかという線引きは、この記事では深掘りしません。同じ温度で丁寧に扱った記事が別にあるので、そちらに任せます。

エフェクト側の境界はDaVinci Resolveのエフェクト、トランジション側はDaVinci Resolveのトランジションで扱っています。無償版とStudioの違いそのものは無償版とStudioの違いが詳しいです。

10. 【実体験】現役MVクリエイターがDaVinci Resolveの速度変更をどう使い分けているか

ここからはDaVinci Resolveの速度変更について、僕自身の立場から書きます。まず前提を正直に置かせてください。

僕の仕事の主軸はAdobe系です。DaVinci Resolveは無償版を入れて検証しながら書いている立場で、Studioは持っていません。

編集はPremiere Proが2023年から、モーション系のAfter Effectsが2025年から。実写MVとVJ・ライブ演出映像を月5本くらいのペースで作っています。カメラはα7Ⅳに24-70mm F2.8 GMⅡ、作業機は自作のWindowsと出先用のM3 MacBook Airです。

なのでこの章は「DaVinciを毎日使い込んだ人の実感」ではありません。MVの現場で速度変更をどう設計しているかという、ソフトをまたいで通用する考え方の話に限定します。

速度変更は「撮影の段階」で半分決まっている

これがいちばん言いたいことです。スローの気持ちよさは、編集で作る前に撮影のフレームレートでほぼ決まります。

α7Ⅳで60pで撮っておけば、24pのタイムラインに置いたときに40%まで落としても素材のフレームが足ります。この状態なら、処理方式で悩む必要すらほとんどありません。

逆に24pで撮ったカットを40%に落とすと、足りないフレームをソフト側が作ることになります。ここでOptical Flowに頼りきると、被写体の輪郭が溶けたり、背景が引っぱられたりする。公式が「交差する2つの動体でアーティファクトが出る」と書いていた、まさにあの状況です。

MV撮影で「ここスローにするかも」と思ったカットは、迷わず高フレームレートで回しておく。これだけで編集の悩みが半分消えます。

最初に失敗したのは「リップル」だった

正直に書くと、僕が最初にやらかしたのはリップルの事故です。曲に合わせてカットを全部並べ終わったあとに、1カットだけスローにしようとして後ろが全部ずれました。

ソフトは違いましたが、原理は同じです。速度を変えるとクリップの長さが変わる。長さが変わったぶん、後ろをどうするかの設定が必ずどこかにある。

DaVinciの場合、それがChange Clip SpeedダイアログのRipple Sequenceであり、リタイムコントロールではSelectionかTrimかというツールの状態でした。最初に触るべきなのは速度の数値ではなく、この「後ろをどうするか」のほうです。

音ハメを前提にしたMVだと、ここを外した瞬間に全部やり直しになりますからね。

可変速は「音が消える」前提で設計する

8章で書いた「可変速の音声はミュートされる」という仕様、これは実は設計上ありがたい面もあります。

MVは基本的に楽曲が別トラックで走っているので、映像クリップの同録音を可変速で引き伸ばしたところで使い道はほとんどありません。むしろ変な速度で伸びた音が混ざるより、消えていたほうが事故が少ないです。

ただしインタビューやドキュメンタリー寄りの案件だと話が変わります。喋りが乗ったクリップに可変速をかけると、その区間の声が消えます。喋りのあるカットは可変速の対象から外す、というのが安全な設計だと思います。

僕がDaVinciの速度変更で一番いいと思ったところ

触ってみて素直に感心したのが、速度矢印の色と間隔で状態が読める点です。

黄色で間隔が広ければスロー、青で詰まっていれば早回し。数値を開かなくても、タイムラインを眺めるだけで「このクリップは今こういう状態」と分かる。これ、可変速を何本も組んだときの見通しが段違いに良くなります。

もうひとつ良かったのが、セグメント間の速度変化が自動でイーズされるという仕様。手でイーズを作らなくても、ひとまず見られる形になります。

逆に、速度の切り替わりを意図的にカクッとさせたい場面ではやりづらいはず。そこはリタイムカーブに降りて詰める、という二段構えになりますね。

速度変更だけで映像は良くならない

最後にひとつだけ。速度変更は強力な武器ですが、全カットに変速を入れると、逆に何を見せたいのか分からない映像になります。

僕がMVで変速を使うのは、曲の中で2〜3箇所くらい。「ここを見せたい」と決めた瞬間だけ時間を伸ばすから効くのであって、常時かかっていたら感覚は麻痺します。

色の設計と同じ考え方です。カラーの詰め方に興味がある人はDaVinciのカラーグレーディングもあわせてどうぞ。合成側で時間を操りたい人はFusionページの使い方のほうが近いと思います。

基礎からまとめて学び直したい人への選択肢

速度変更にかぎらず、独学だと「その機能を知らないまま遠回りしていた」ということが起きやすいです。今回の記事も、まさに公式ドキュメントを読み込まないと辿り着けない情報ばかりでした。

Adobe系のライセンスを正規に持ちながら、動画教材で基礎を一周したい人には、教材とAdobe Creative Cloudライセンスがセットになった通信講座という選択肢もあります。

受講期間:全3か月/Adobe Creative Cloud(学生・教職員版)ライセンス1年分が付属
学べる内容:Illustrator基礎・Photoshop基礎・Dreamweaver基礎・Premiere Pro基礎・After Effects基礎の5本立て。基本操作に加えて生成AIの活用も扱うと案内されています
カリキュラムの進め方:ベテラン講師の動画教材を自分のペースで視聴し、課題を進めていく構成。受講期間中は質問対応も用意されています
受講後の目安:教材を一周したあと、自分の制作物を並べて主戦場のアプリを決める段階へ。公式ページでも受講後のスキルチェックとしてアドビ認定プロフェッショナルの受験が案内されています
販売元:デジタルハリウッド株式会社(デジハリ・オンラインスクール)
受講料や申込条件は改定されることがあるので、最新の内容は公式ページで確認してみてください
公式:Adobeマスター講座

DaVinci Resolveを使っている人が慌てて乗り換えるものではありません。Adobe系も触る予定がある人、ライセンスの更新時期が近い人だけ、内容を見比べてみるくらいで十分だと思います。より詳しい中身はAdobeマスター講座のレビューにまとめています。

11. DaVinci Resolveの速度変更についてよくある質問

DaVinci Resolveの速度変更についてよく聞かれることを、今日公式で確認できた範囲で答えます。確認できなかったものは、確認できなかったと書きます。

Q1. インスペクタに「速度変更」の項目が見当たりません

まず折り畳みを疑ってみてください。日本語の公式ガイドに「インスペクタのスペースを節約するために『速度変更』コントロールは折り畳まれています」と明記されています。

見出しの「速度変更」をクリックすれば展開されます。それでも見つからないときは、インスペクタ下部までスクロールするか、右上の「拡大」ボタンでインスペクタを縦に広げてみてください。

Q2. 速度変更は無料版でも使えますか?

英語リファレンス21のSpeed Effectsの章を通しで読みましたが、無償版の制限に関する記述は見当たりませんでした。「Studio限定」と書かれた公式記述は確認できなかった、というのがこの記事の言える範囲です。

ここから「無料版で全部使える」と断定するつもりはありません。無償版とStudioの線引きそのものは無償版とStudioの違いで扱っています。

Q3. スローにしたらカクカクします。どこを直せばいいですか?

処理方式(Retime Process)を見てください。Nearestはスローのときフレームを複製するだけなので、深いスローほどカクつきます。Frame Blend、Optical Flowの順に滑らかになります。

ただし公式はOptical Flowでアーティファクトが出る場合はFrame Blendのほうが良い結果になりうると書いています。上げれば必ず良くなるとは限らないので、そのクリップで見比べてみてください。

Q4. カーブで逆再生を作ろうとしてもできません

開いているカーブの種類が原因かもしれません。公式は「it’s impossible to create reverse motion using the Retime Speed curve」と書いていて、Retime Speedカーブでは逆再生を作れません。

逆再生はリタイムコントロールのreverse segmentか、Retime Frameカーブで左の制御点を右より高くする方法で作ります。Change Clip SpeedダイアログのReverse Speedチェックボックスでも作れます。

Q5. 速度を変えたら後ろのクリップが全部ずれました

リップルの設定です。Change Clip SpeedダイアログならRipple Sequenceのチェック、リタイムコントロールならSelection tool/modeはリップルせず、Trim tool/modeはリップルすると公式に書かれています。

音に合わせて組んだタイムラインでは、速度をいじる前にここを確認するクセをつけると事故が減りますよ。

あわせて読みたい

12. まとめ|DaVinci Resolveの速度変更が合う人・合わない人と使い分けの結論

最後に整理します。DaVinci Resolveの速度変更は4ルートあって、目的で使い分けるもの。そして日本語の公式が説明しているのは、そのうち1ルートだけでした。

この記事のまとめ
  • 速度変更のルートは4つ。インスペクタ/Change Clip Speedダイアログ/Retime Controls/Retime Curves
  • 日本語の公式ガイド627ページが手順つきで説明しているのは、インスペクタの「速度変更」だけ
  • インスペクタの「速度変更」は初期状態で折り畳まれている。クリックで展開し、数値を直接入力するのが速い
  • リタイムの矢印は、黄色=スロー/青=等速以上/間隔が広いほど遅い/左向きは逆再生
  • 1本のクリップ内で変速するにはスピードポイントを2つ以上打つ。上のハンドルが速度、下のハンドルが範囲
  • Retime Speedカーブでは逆再生を作れないと公式が明記。逆再生はRetime Controlsか Retime Frameカーブで
  • スローの画質はRetime Processで決まるが、最高品質の設定が常に最良とは限らないと公式が明記
  • 可変速の音声はミュートされる。リニアな速度変更のピッチ補正はWindowsとMacで初期挙動が違う
  • Retime Controls等の日本語UI表示名、Windowsのショートカット表記は公式で確認できなかった

DaVinci Resolveの速度変更が合う人

合う人:可変速やスピードランプをMV・PVで多用したい人/スローの画質を自分で追い込みたい人/速度の状態を数値ではなく見た目で把握したい人/高フレームレートで撮った素材を活かしたい人。

矢印の色と間隔で状態が読める設計は、可変速を何本も組む人ほど効いてきます。処理方式をクリップ単位で切り替えられるのも、追い込みたい人には嬉しい作りです。

DaVinci Resolveの速度変更が合わない人

合わない人:日本語の公式ドキュメントだけで完結させたい人/英語のメニュー名を追うのがストレスな人/喋りの入ったクリップに可変速をかけたい人/WindowsとMacを頻繁に行き来しつつ音のピッチを厳密に揃えたい人。

とくに1つ目は現実的なハードルです。日本語のガイドが1ルートしか説明していない以上、その先へ進むには英語のリファレンスを開くか、こういう記事を頼るしかありません。

英語UIと日本語UIを行き来したい人は、DaVinci Resolveの日本語化で表示言語の切り替え手順をまとめてあります。英語表記のまま覚えてしまうのも、実はひとつの手ですよ。

今日からの進め方

まずは1ルート目だけで十分です。インスペクタの「速度変更」を開いて、パーセント欄に数字を打ち込む。DaVinci Resolveの速度変更は、ここから始めれば迷いません。

そのうえで「クリップの途中で速度を変えたい」と思った日に、リタイムコントロールを開く。4ルートを一度に覚えようとしないのが、いちばんの近道です。

ソフト全体の使い方から固めたい人はDaVinci Resolveの使い方 完全ガイドへ。一緒に、映像で食べていける仲間になりましょう。

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