【決定版】DaVinci Resolve 21 正式版で何が変わった?AI 9機能の実戦投入ガイド

「DaVinci Resolve 21、ついに正式版が来た」って思った瞬間、リリースノートを開いて固まりませんでしたか。AI 機能だけで 9 つも増えていて、何から触ればいいか分からない。これ、僕も同じでした。
僕は現役の MV クリエイターで、案件は DaVinci 一本でカラグレ・編集・書き出しまで回しています。だから「機能が増えたぞ」じゃなくて「今月の案件で、どれを使えば時短になるのか」しか見ていません。今回はその目線で、6/3 に出た DaVinci 21 正式版の AI 9 機能を、現場で使う/使わないで仕分けします。
結論を先に言うと、MV/PV 案件で即戦力になるのは「IntelliSearch」「Speech Generator」「Blemish Removal」の 3 つ。残り 6 つは「来るかもしれないけど、今は様子見でOK」というのが正直な感想です。
この記事を読み終わる頃には、自分の案件にとって 21 にアップグレードする価値があるか/まだ 20 で粘るか、その判断ができる状態になっています。
- DaVinci Resolve 21 正式版で押さえるべき3つの注目点
- 新 AI 9 機能を実務適性で 4 分類
- AI IntelliSearch + Smart Bins で素材整理を半日短縮する手順
- AI CineFocus と UltraSharpend|MV 案件でどこまで使えるか
- AI Speech Generator|TTS の現場運用と著作権の境目
- Face Age / Reshaper / Blemish Removal|実写 MV での倫理ラインと使い分け
- DaVinci 20 から 21 にアップグレードすべき人/待つべき人
- DaVinci Resolve 21 が合う人・合わない人
- まとめ|AI 機能を「3 年使い倒す投資」として捉える視点
DaVinci Resolve 21 正式版で押さえるべき3つの注目点

まず、全体像を先に。正式版(2026/06/03 リリース)で押さえるべきは、AI 機能の拡張・Photo ページ新設・Fusion 強化の3つです。
注目点①|AI 機能が一気に 9 つ追加
ベータ時から触ってきましたが、正式版で加わった AI 機能は実用度がだいぶ上がっています。代表的なのは次の 9 つ。
IntelliSearch / Speech Generator / CineFocus / Face Age Transformer / Face Reshaper / Blemish Removal / UltraSharpend / モーションブラー除去 / スレートID 認識
ベータでバグっぽかった部分が 正式版で落ち着き、特に素材整理系(IntelliSearch・スレートID)はもう案件で使える水準です。
注目点②|Photo ページの新設
スチル写真編集専用の 「Photo ページ」が追加されました。RAW 現像から Color ページとのノード連携まで対応します。
MV/PV 案件だと使う頻度は少ないですが、ジャケ写・宣伝素材のレタッチを別アプリでやっていた人は、これだけで DaVinci に一本化できるようになります。
注目点③|Fusion に Krokodove ライブラリ統合
これまで有料の Krokodove ツール群が、Fusion にネイティブ統合されました。VFX を Fusion で組む人にとっては純粋にプラスです。

ぶっちゃけ、MV クリエイター視点で「正式版で来た!」と一番嬉しいのは AI 機能です。Photo と Fusion は「ついで」扱いでも構いません。
新 AI 9 機能を実務適性で 4 分類

9 機能を「素材整理/音声/カラー/顔加工」の 4 系統に分けて、それぞれの実務適性を整理します。
系統 A|素材整理系(即戦力◎)
- AI IntelliSearch:素材内の人物・モノ・台詞を自然言語で検索
- AI スレートID 認識:撮影時のカチンコ/スレート情報を自動読み取り → メタデータ化
この 2 つは即戦力。MV ロケ素材 200〜500 クリップを「夕焼け 引きの絵」みたいな言葉で検索できると、素材整理工程が半日縮みますよ。
系統 B|音声系(条件付き◎)
- AI Speech Generator:テキストから音声を生成(10 秒サンプルから声質クローン)
仮ナレーション・ガイド音声には強い。ただし商用利用時は声質クローン元の権利確認が必須で、ここはまだ怖い部分があります。
系統 C|カラー/映像補正系(様子見〜部分採用)
- AI CineFocus:撮影後に焦点距離を変更(疑似的な被写界深度調整)
- AI UltraSharpend:超解像シャープニング(低解像素材の引き上げ)
- AI モーションブラー除去:手ブレ/被写体ブレを軽減
CineFocus は派手な機能だけど、実写で「ボケが嘘っぽい」と一発で見抜かれる場面が多いです。UltraSharpend と モーションブラー除去は救済策としては優秀ですが、「最初からきれいに撮る」のが正解。
系統 D|顔加工系(要倫理判断)
- AI Face Age Transformer:被写体の年齢を変える
- AI Face Reshaper:顔の形を調整
- AI Blemish Removal:シミ・ホクロを自動除去
MV/PV 案件で実用度が高いのは Blemish Removal の現実解ですね。残り 2 つは演出依頼があるとき限定で、勝手に使うのは倫理的にもアウトです。
AI IntelliSearch + Smart Bins で素材整理を半日短縮する手順

ここからは、MV 案件で最も恩恵が大きい IntelliSearch の実戦手順を共有します。
ステップ 1|素材を読み込む
通常通り Media ページに撮影素材を放り込みます。AI 解析は読み込み後にバックグラウンドで自動実行されるので、寝てる間に終わらせる感じでOKです。
ステップ 2|検索バーで自然言語入力
Media ページ右上の検索バーで、たとえば「歩いている女性 引きの絵」と入れる。すると該当クリップが瞬時にハイライトされます。
プロンプトのコツは「主語 + 動作 + 画角」の3点セット。「ボーカル ステージ 寄り」みたいに区切ると精度が上がります。
ステップ 3|Smart Bins で固定化
検索結果を Smart Bins に保存しておくと、条件を満たす新規素材が自動でビンに追加されるようになります。MV 案件で同じ条件を何度も呼び出すなら必須。
ステップ 4|スレートID で命名を自動化
撮影時にカチンコを写し込んでいれば、スレートID 認識でカット番号・テイク番号がメタデータに自動入力されます。手作業のリネームが要らない。

ここまでで、従来 3〜4 時間かかっていた MV 用素材整理が 1.5 時間程度に収まる感覚です。
AI CineFocus と UltraSharpend|MV 案件でどこまで使えるか
AI CineFocus|MV では使いどころが限定的
撮影後にピント位置を動かせる、というのは確かに革命的です。ただし MV のように「物語性のあるカット」では、ボケの不自然さが致命傷になります。
実際に試した結果、使えるのは「インサート・小物・風景の引き絵」くらい。ヒロインのアップで使うと、髪の輪郭が溶けて違和感が出ます。
AI UltraSharpend|救済策としては優秀
「素材が思ったよりボケていた」ときの緊急対応としては優秀です。ただし通常運用で乱用すると、ノイズも一緒に持ち上がって画質が暴れるので注意。
設定はSharpening 30〜50% / Noise Reduction 軽めから試して、Before/After を必ずノードで切り替えて確認するのが安全です。
AI Speech Generator|TTS の現場運用と著作権の境目
DaVinci 内蔵の TTS(Text-to-Speech)+10 秒サンプル声質クローン。仮ナレ業務には強い。
使う場面
- 構成確認用の仮ナレーション
- クライアントへのプレゼン用ガイド音声
- 海外案件向け多言語ナレ(10 言語対応)
注意したい場面
声質クローンは 商用利用時に元音声の権利者から同意が要るのが基本です。「自分の声をクローンして自分の動画で使う」は問題ないけど、他人の声を勝手にクローンして本番納品はアウトですよ。
実運用のコツ
- 仮ナレ → 本番ナレに差し替える前提で使う
- 本番納品用ナレはElevenLabs などの専門サービスで権利クリアな音声を使うのが安全
- DaVinci 内蔵 TTS の品質は「下書きレベル」と割り切る
このあたりは、関連記事の ElevenLabs 使い方ガイド と組み合わせて使うのが現場の正解です。
Face Age / Reshaper / Blemish Removal|実写 MV での倫理ラインと使い分け
顔加工系 3 機能は、演出として依頼されたとき限定で使う前提です。
Blemish Removal|現場の定番として OK
シミ・ホクロ・ニキビの自動除去。事務所サイドからの最低限の要望として頻発するので、これは積極採用していい。
操作は Color ページのトラッカーと連携して 「対象をマウスで囲む → Apply」だけ。Resolve Studio 必須。
Face Reshaper|依頼があれば慎重に使う
頬骨・あご・目の比率を微調整できる。「写真は加工 OK だけど映像はやり過ぎ」と感じる被写体も多いので、必ず本人確認を取ってから使うのが安全です。
Face Age Transformer|MV 演出限定
10 代から 70 代までの加齢/若返りを再現。コンセプチュアル MV の演出として相談されたとき以外は出番なし、というのが正直なところです。
- クライアント/被写体本人から書面または明確な口頭で許可を取っているか
- 加工前/加工後の比較画像を提示して合意済みか
- クレジット表記に「映像加工:◯◯」と入れるかの確認をしたか
「自然にバレないだろう」で勝手にやると、後で被写体側から訴えられるリスクもある領域です。
DaVinci 20 から 21 にアップグレードすべき人/待つべき人

ここまで読んで、「で、結局アップグレードすべき?」が一番気になりますよね。判断軸を 3 つにまとめます。
アップグレードすべき人
- 撮影素材を 200 クリップ以上扱う MV/PV クリエイター:IntelliSearch + スレートID で素材整理時間が圧倒的に縮む
- スチル写真も触る案件がある人:Photo ページで一本化のメリット大
- Studio ライセンス所持で AI 機能をフル活用したい人:9 機能のうち Blemish Removal / IntelliSearch / Speech Generator が即戦力
待ってもいい人
- 20 系で安定稼働している既存案件メインの人:メジャーバージョンアップ直後は周辺プラグインの互換確認が要る
- Free 版ユーザーで AI 機能を使う予定がない人:Free 版でも 21 にできるけど、AI 機能の大半は Studio 限定
- Fusion をほぼ使わない人:Krokodove 統合の恩恵を受けない
- AI Speech Generator
- AI Face Age / Reshaper / Blemish Removal
- AI CineFocus
- AI UltraSharpend
- IntelliSearch(部分的に Free でも動くが Smart Bins 連携は Studio)
Free 版で動く範囲も広がっているけど、MV/PV 案件で恩恵を受けるなら Studio(買い切り 47,980 円・税込/2026 年 6 月時点)が現実解ですよ。
DaVinci Resolve 21 が合う人・合わない人
この記事が合う人
- 既に DaVinci 20 系を案件で使っていて、21 にアップグレードする価値を判断したい人
- MV/PV のロケ案件で素材整理に時間を取られている人
- AI 機能を「使えるもの/様子見」に仕分けてから触りたい人
- Studio ライセンスを持っていて投資回収を考えている人
この記事が合わない人
- DaVinci を初めて触る完全初心者(先に DaVinci 使い方完全ガイド を読むのがおすすめ)
- AI 機能には興味がなく、純粋な編集・カラグレ機能だけ知りたい人
- Free 版で完結させたい人(21 の主要 AI 機能は Studio 必須)
まとめ|AI 機能を「3 年使い倒す投資」として捉える視点
DaVinci 21 正式版は、派手な見出しが多い割に「即戦力」と言えるのは AI 機能 9 つのうち 3 つだけ。
僕の結論を一行でまとめると、こうです。
MV/PV 案件で素材を多く扱う人は今すぐアップグレード。それ以外は 20 系で粘って構わない
理由は、IntelliSearch・スレートID 認識・Blemish Removal の 3 つで、月平均 8〜10 時間の作業時間が浮くから。Studio ライセンス(47,980 円)を1 年で回収できる計算になります。
逆に言えば、「AI が話題だから入れておく」だけだと、結局 9 機能のうち 6 つは使わずに終わる可能性が高い。自分の案件のボトルネックがどこかを見極めてから判断するのが、3 年使い倒す投資になりますよ。
DaVinci 21 はベータ時点ですでに評判が良かったけど、正式版で初めて「現場で使える」と言える AI 機能が固まった印象です。次の DaVinci Resolve 21 ベータ Photo ページ解説 と合わせて読むと、Photo 軸の使い方も補完できます。
それでは、いい DaVinci ライフを。一緒に MV 業界を盛り上げていきましょう。
