【完全ガイド】DaVinci Resolve 21 CineFocus 使い方|AI被写界深度で撮影後にピントを調整する完全ガイド

「MV の撮影で、フォーカスがアシスタント任せで甘く撮れちゃった」「ワンマン撮影で被写体にピント来てないテイクが残ってる」って経験、実写 MV/PV をやっていると一度はやらかすやつですよね。
僕も MV 撮影で1テイクしかないのにフォーカスが甘くて、編集中に「ここ、ピン来てたら最高のシーンなのに……」と頭を抱えたことが何度もあります。
ところが2026年6月3日に正式リリースされた DaVinci Resolve 21 Studio に、その救済策がド直球で入りました。それがAI CineFocusです。
AI が深度マップを自動生成して、「撮影後にピント位置をクリックで変える」「F 値(絞り値)相当のボケ量を後処理で調整する」「ラックフォーカスをキーフレームでアニメ化する」ことが、Color ページのエフェクト1つでできるようになりました。
この記事では、CineFocus の3つの注目点・前提環境・基本操作3ステップ・ラックフォーカス・MV案件で刺さる活用シーン・他ツールとの使い分けまで、現役 MV クリエイター視点で全部書きます。
DaVinci CineFocus の3つの注目点|従来のボケ追加プラグインと何が違うか

注目点①|AI 深度マップ自動生成で被写体と背景を正しく分離
従来のボケ追加プラグイン(AE の Camera Lens Blur、Premiere の Lens Blur 等)は、マスクを手で切るか、全体に一律ブラーを掛けるかでした。
CineFocus はAI が画面内の深度(奥行き)を自動でマップ化し、「被写体は鮮明・背景はぼかす」を自動判定します。
注目点②|F値(絞り値)相当を後処理で自由に調整
CineFocus ではAperture(絞り)パラメーターで、F1.4 相当の浅い被写界深度〜F8 相当の深い被写界深度を後処理で自由に変えられます。
「撮影後にレンズを交換する」感覚で被写界深度を操作できる、という発想です。
注目点③|ラックフォーカスをキーフレームでアニメ化
Aperture と Focus Distance(ピント距離)はキーフレーム化可能なので、「最初は奥にピント → 1秒かけて手前の被写体にピント送り」といったラックフォーカスを、後処理で自由に作れます。

撮影現場でラックフォーカスを決めるのは、フォーカスマンの技術次第で1テイクで決まらないことが多いんですよ。CineFocusは失敗テイクの救済と演出の追加の両方ができるので、現役クリエイターには強力な武器ですよ。
使う前提|DaVinci Resolve 21 Studio が必要・無料版は非対応
- 無料版:CineFocus 非対応・基本編集機能のみ
- Studio 版:CineFocus 対応・買い切り約47,980円(公式直販、為替により変動)
- GPU 要件:NVIDIA / AMD / Apple Silicon の比較的新しめ世代を推奨(VRAM 8GB 以上が安心)
- OS:macOS 12 以降 / Windows 10 以降 / Linux
Studio 版は買い切りなので、Adobe のようなサブスク疲れがありません。MV/PV クリエイターなら1年で元が取れる投資です。
基本操作3ステップ|AI深度マップ生成→CineFocusノード接続→F値調整

ステップ1|AI 深度マップを生成
- Color ページを開いてクリップを選択
- 右クリックで新しいコレクターノードを追加(ソースから分岐)
- エフェクトライブラリ → Resolve FX → AI Tools からAI Depth Mapを分岐ノードへドラッグ
- 数秒〜数十秒で深度マップが生成される
ステップ2|CineFocus ノードを接続
- 元のクリップノードラインに別のコレクターノードを追加
- エフェクトライブラリ → Resolve FX → AI Tools からCineFocusを追加
- AI Depth Map ノードの緑色出力(RGB)を、CineFocus ノードの青色アルファ入力に接続
- AI Depth Map はソースから分岐して計算(並列ノード)
- CineFocus はカラーバランスノードの後に置く(色補正後に被写界深度を計算)
- 順序が逆だとボケた部分の色が破綻することがある
ステップ3|Aperture と Focus Distance を調整
- CineFocus のインスペクタを開く
- 画面上の「フォーカスしたい場所」をクリックして Focus Distance を指定
- Aperture スライダーで被写界深度の浅さ深さを調整
- Bokeh Shape で円形/六角形/八角形などボケ形状を選択
「ピント位置をクリックで指定」できるのが体験として圧倒的。
ラックフォーカス|ピント送りをキーフレームでアニメ化する手順

- CineFocus のインスペクタ右上のダイヤモンドアイコンでキーフレームモードに入る
- クリップの最初のフレームで奥にピントを合わせて Focus Distance をキー打ち
- クリップの最後のフレームで手前の被写体にピントを合わせて Focus Distance をキー打ち
- 自動的に補間されて、ピント送りが完成
- 被写体登場の演出:ピント位置を一気に切り替え+ Aperture は維持
- 緊張感の演出:ピント位置をゆっくり切り替え+ Aperture を浅く(ボケを強く)
- 時間経過の演出:ピント位置をフェード切替+ Aperture を徐々に深く
MV案件で刺さる活用シーン3つ|寄り/引き/被写体追従
シーン①|寄りカットの背景処理
アーティストの顔のアップで、背景が「ぼやっとした夜景」になるようにしたい。撮影時に F2.8 で撮ったけど、もう少しボケが欲しい。
→ CineFocus で Aperture を浅く(F1.8〜F2.0 相当)にして、背景のネオンサインをよりとろけさせます。
シーン②|引きカットでも被写体だけ立たせる
ワイドカットでアーティストを撮ったけど、画面情報が多くて視線が散ってしまう。
→ CineFocus で 被写体だけにピント・背景全体をボカすことで、視線をアーティストに集中させます。
シーン③|カメラパンで被写体追従するピント
カメラがゆっくりパンするシーンで、画面内の被写体位置が変わる。
→ CineFocus の Focus Distance をフレームごとにキー打ちするか、マスクトラッカーで自動追従させて、ピント追従を後処理で作ります。
ピンボケ素材の救済|「もう一回撮り直し」を回避するワークフロー
- ピンが甘いだけ(完全にボケてない):シャープネス+ CineFocus で復元可能
- 被写体は OK、背景もボケすぎていない:CineFocus で意図的に背景だけボカす
- 手前にゴミが映り込んでいるだけ:CineFocus でゴミの方をボカして目立たなくする
救えないケース:
- 完全にピンが外れて被写体が判別できない:AI でも復元は不可能
- 画面全体がモーションブラーで流れている:深度マップが正しく取れない
- ノイズが多くて被写体の輪郭が出ていない:AI 深度マップが破綻
「再撮影は予算と日程の都合で無理」というケースでも、CineFocus で「そこそこ見られる」レベルまで持っていけるのが大きい武器です。
CineFocusの苦手分野と他ツールとの使い分け

CineFocus の苦手分野:
- 透明・半透明素材:ガラス・水・煙・髪の毛の毛先など
- 激しいモーションブラー:シャッタースピードが極端に遅い場合
- 全体が暗いシーン:ノイズが多くてコントラストが低い場合
| ツール | 強み | 弱み | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|
| DaVinci CineFocus | AI深度マップ自動・キーフレーム可 | Studio版必須 | MV/PV ピント救済・ラックフォーカス |
| AE Camera Lens Blur | 細かいパラメーター制御 | 深度は手マスク | 3D合成の精密ボケ |
| Boris FX Sapphire | 多彩なボケ形状・実写質感 | 価格高 | 映画調・CM 制作 |
| Premiere Lens Blur | 標準搭載・無料 | 深度認識なし | 簡易ボケ・SNS 動画 |
| Magic Bullet Defocus | カラグレ統合 | 後付け F 値変更弱い | カラグレ一体運用 |
MV/PV のピント救済を本気でやるなら CineFocus が現時点のベスト、というのが僕の結論です。
CineFocus が合う人・合わない人
合う人
- DaVinci Resolve Studio を既に持っている人:追加費用なしですぐ使える
- 実写 MV/PV のピント救済に頭を抱えてきた人:直球で効く
- シネマティックなラックフォーカス演出を頻繁に使うクリエイター
- ワンマン撮影が多い人:フォーカスマンを雇えない場面で保険になる
合わない人
- DaVinci 無料版で十分な人:Studio版が前提
- AE 中心のワークフローで完結している人:DaVinci に持ち込む手間が増える
- SNS 動画中心で被写界深度にこだわらない人
まとめ|撮影後にピントを救う・演出するという新しい現場感覚
DaVinci Resolve 21 の CineFocus は、MV/PV クリエイターの「撮影現場のフォーカス問題」をかなりの部分まで後処理で解決できる新機能です。
僕の運用方針としては、Color ページのルーティンに「CineFocus 検討」を組み込むことにしました。全カットで使うわけではなく、「これピント甘いな」「もう少しボケが欲しい」と感じたカットだけ CineFocus を当てる、という運用です。
