【規約原文】PowerDirectorは商用利用できる?EULAとFAQが割れている

PowerDirectorで作った動画、YouTubeで収益化したりお客さんに納品したりしていいんですよね? 公式のFAQには「できます」って書いてあったんですけど、規約のほうを開いたら「商用目的で利用しないこと」って出てきて、頭が止まりました……。
その止まり方、正しいです。読み間違いでもなんでもありません。
先に結論から書きますね。PowerDirectorの商用利用は、公式FAQでははっきり「できる」と書かれています。ところが同じCyberLink公式の使用許諾契約書(EULA)を開くと、「商用目的で利用しないこと」という禁止の列挙が出てきます。どちらも公式の文書です。
しかも、この2つは無関係な話ではありません。FAQ自身が「EULAに記載されているメディアの使用制限に違反する用途では使えない」と書いているので、FAQの許可とFAQの禁止が、同じ1ページの中でぐるっと循環しています。
この記事は、2026年9月19日にCyberLinkの公式ページを直接開いて、そこに書いてある文章だけで組み立てたものです。商用利用のFAQ、日本語版EULA、英語版EULA、サービス規約、価格ページ、無料版の制限FAQの6本を突き合わせました。
その結果、PowerDirectorの商用利用の答えは1か所ではなく3つの文書に分かれていて、公式が答えていない論点が14項目残っていることが分かりました。後半でまるごと出します。
この記事の役割も先に線を引いておきます。ここで扱うのは「PowerDirectorで作ったものを、仕事や収益化に使っていいか」という出口の話だけです。無料のままどこまで作れるかという範囲の話はPowerDirector無料版の制限をまとめた記事のほうにあります。
僕はPowerDirectorの実機を持っていません。体感の評価はいっさい書きません。書けるのは公式ページに書いてある仕様と、それらを突き合わせて見えてきた食い違いだけです。普段はAfter EffectsとPremiere Proで仕事を回しているので、PowerDirectorの動作の軽さや編集の手触りについては、ここでは何も言えません。
そのかわり、受託で映像を納品する立場として「この規約で納品していいのか」を読む作業は毎回やっています。この記事は、その読み方をPowerDirectorに当てた記録だと思ってください。
- PowerDirectorの商用利用を「できる」と書いている公式FAQの原文12項目
- 同じ公式のEULAが「商用目的」を禁止列挙に入れている、という食い違いの中身
- 無料版のPowerDirector Essentialが、どのライセンス種別なのか公式が書いていないこと
- コーデックの追加ライセンスが要る条件と、日本語版と英語版でリストが違う話
- AI生成素材の商用利用が、FAQと利用規約で逆を向いている件
- 受託制作でPowerDirectorを使うときに詰まる4つの線引き
- 公式が答えていない14項目と、立場別の判断の落としどころ
- 1. PowerDirectorの商用利用は「できる」と書かれている|ただし答えは3つの文書に分かれている
- 2. PowerDirectorの商用利用でできること・できないこと|FAQ原文の12項目
- 3. PowerDirectorの商用利用でEULAとFAQが割れている|「商用目的」が要約から消えている
- 4. PowerDirectorの無料版は商用利用できるのか|体験版ライセンスの条文と公式の沈黙
- 5. PowerDirectorの商用利用とコーデックの追加ライセンス|日英でリストが違う
- 6. PowerDirectorのAI生成素材は商用利用できるか|FAQと利用規約が逆を向いている
- 7. PowerDirectorの商用利用でテンプレート・Getty Images素材をどう扱うか
- 8. 受託制作でPowerDirectorを商用利用するときに詰まる4つの線引き
- 9. PowerDirectorの商用利用を判断する前に、僕が納品物で確認していること
- 10. PowerDirectorの商用利用が合う人・合わない人|納品先で線を引く
- 11. PowerDirectorの商用利用で公式が答えていない14項目
- 12. PowerDirectorの商用利用についてよくある質問と、判断のまとめ
1. PowerDirectorの商用利用は「できる」と書かれている|ただし答えは3つの文書に分かれている
PowerDirectorの商用利用は、公式FAQを読むかぎり許可されています。ただし「PowerDirectorは商用OK」の一言で終わらせると危ないです。答えを書いている文書が3本あって、その3本が同じことを言っていないからです。

まず全体像を置きます。PowerDirectorの商用利用について書いている公式文書は、商用利用FAQ・使用許諾契約書(EULA)・サイバーリンク社のサービス規約の3本です。それぞれ立場が違います。
| 文書 | 商用利用について書いていること | 読んだ印象 |
|---|---|---|
| 商用利用FAQ(id=28902) | YouTube収益化・企業PR・展示会での上映はできる | 広く許可している |
| 使用許諾契約書(EULA・2024年版) | メディアコンテンツを商用目的で利用しないこと | 正面から禁止している |
| サービス規約(2024年10月更新) | AI生成物の商用は写真や画像形式であることが条件 | 動画だけ別条項に送り返す |
| 価格ページの比較表 | 「SNS 収益化 / 企業 PR / 宣伝利用」の行がある | 販売ページでも許可を謳う |
| 無料版の制限FAQ | 商用利用への言及そのものがない | この論点に触れない |
PowerDirectorの商用利用でいちばん強い許可は、FAQに書かれている
許可のほうから見ます。CyberLink公式のFAQに「PowerDirector、PhotoDirector、Promeo で制作した作品を商用利用することはできますか?」という項目があって、そこに「できること」と「できないこと」が箇条書きで並んでいます。
同じFAQの中に、保証しないという一文も置かれている
ただ、同じFAQの少し下にこう書かれています。「上記のようなケースと、CyberLink の使用許諾契約書 (EULA) で明示的に許可されている場合を除き、CyberLink はいかなる権利も付与せず、作品が営利目的で使用できることを保証しません」。
PowerDirectorの商用利用を自分で確認するときに開く場所
先に共有しておきます。PowerDirectorの商用利用を自分で確かめたいなら、見る場所は3つ。サポートセンターの商用利用FAQ、EULAの本文、そしてサイバーリンク社の全般的なサービス規約です。
機能紹介ページと価格ページには、権利の話はほとんど書かれていません。唯一、2026年9月19日時点の価格ページの比較表に「SNS 収益化 / 企業 PR / 宣伝利用」という行があって、脚注から商用利用FAQへリンクが張られていました。
ここ、地味に大事なところです。その行があるのは買い切り版・365・Director Suiteの3列だけで、無料版のEssentialは比較表の列そのものに存在していません。無料版の商用利用が宙に浮いている理由の一端が、ここに見えます。無料版の話は、公式の中でもいちばん空白が大きいところなんですよ。
2. PowerDirectorの商用利用でできること・できないこと|FAQ原文の12項目
PowerDirectorの商用利用で具体的に何がOKで何がNGかは、FAQに12項目が並んでいます。できることが6つ、できないことが6つ。ここが実務でいちばん使う部分です。

2026年9月19日時点の原文を、そのまま表にします。言い換えずに並べたほうが、判断のときに役に立つからです。
| できること(6項目) | できないこと(6項目) |
|---|---|
| YouTube に作品をアップロードして収益化する | PowerDirector または Promeo で作成した作品を、直接収益源として販売する |
| ソーシャル メディア プラットフォームに作品をアップロードして、商品やサービスを宣伝する | 作品のライセンスを直接収益源として販売する |
| 作品をウェブサイトにアップロードして、会社や商品を紹介する | テンプレートまたはサードパーティのストック素材を含む作品を、ハードコピーとして印刷する |
| 展示会など公共の場所で作品を展示して、商品やサービスを紹介する | 有償のオンライン授業で作品を使用する |
| 無償のオンライン授業で作品を使用する | EULA に記載されているテンプレートまたはサードパーティのメディアの使用制限に違反する用途で作品を使用する |
| PhotoDirector で作成した静止画像を販売する(「ビデオ to フォト」機能で切り出した画像を除く) | 「ビデオ to フォト」機能で切り出した画像を、PhotoDirector での編集の有無にかかわらず、直接収益源として販売する |
PowerDirectorの商用利用で線が引かれているのは「動画そのものを売るか」
12項目を眺めると、線の引き方が見えてきます。動画を「広告や宣伝の道具として使う」のは広く許可されていて、動画そのものを「商品として売る」のが禁止側に入っています。
コーデックの追加ライセンスという条件が、静かに1行ある
できないことのリストのあとに、目立たない形でこう書かれています。「本ソフトウェアを直接収益を生み出す目的で使用したり、主な直接収益源として使用する場合は、ビデオ コーデックのサードパーティに連絡して、サードパーティの技術に対して追加ライセンスを取得する必要があります」。
ここ、読み飛ばしやすいんですが、実務では効きます。PowerDirectorを直接の収益手段として使う場合は、CyberLinkではなく特許ライセンス団体へ自分で連絡する必要がある、と公式が書いているということです。細かい条件ですが、収益の柱として使う人には効いてくるんですよ。
2026年9月16日と9月19日で、FAQの項目数が変わっていた
このFAQ、動いています。3日前に同じページを取得したときは、できることが5項目、できないことが4項目でした。
9月19日に開き直すと、できることが6項目、できないことが6項目に増えていて、さらにAI生成素材についての節が2つ新設されていました。PhotoDirectorの静止画販売と「ビデオ to フォト」の扱いが、このタイミングで足されています。
3. PowerDirectorの商用利用でEULAとFAQが割れている|「商用目的」が要約から消えている
ここが今回の調査でいちばん驚いた部分です。PowerDirectorの商用利用について、FAQとEULAが逆のことを書いています。しかも、その差は翻訳のブレでは説明できません。

先に結論を置きます。EULAの「メディアコンテンツ」の条項には、日本語版にも英語版にも「商用目的」が禁止列挙として入っています。ところがFAQが同じ条項を要約するとき、「商用目的」だけが抜け落ちています。
EULA原文の「メディアコンテンツ」条項
日本語版EULAの「サードパーティーまたはCyberLink からライセンスを取得しているメディアコンテンツの利用について」という節に、条件がリストで並んでいます。そのひとつがこれです。
「メディアコンテンツは本ソフトウェア内で利用すること。」
「メディアコンテンツを違法、興行、商用目的、公序良俗に反して利用しないこと。」
「メディアコンテンツのご利用には、本ソフトウェアのご購入または有効なサブスクリプションのご契約が必要です。」(CyberLink PowerDirector 2024 使用許諾契約書より引用)
英語版EULAの同じ箇所も確認しました。こうです。「You shall not use the Media Content in any illegal, public performance or commercial or immoral manner」。
FAQが同じ条項を要約すると、4つが3つになる
では、FAQは同じ条項をどう紹介しているか。原文はこうです。「ただし、テンプレートやサードパーティのメディアの使用に関しては、いくつかの制限がありますのでご注意ください。 例えば、利用者は、興行、または違法、反道徳的な方法でメディア コンテンツを使用することは禁じられています」。
並べてみます。
| 禁止されている使い方 | EULA原文 | FAQの要約 |
|---|---|---|
| 違法 | 書かれている | 書かれている |
| 興行(public performance) | 書かれている | 書かれている |
| 公序良俗に反して(immoral) | 書かれている | 「反道徳的」として書かれている |
| 商用目的(commercial) | 書かれている | 書かれていない |
4つあるはずの禁止列挙が、FAQでは3つになっています。落ちているのは「商用目的」の1項目だけです。FAQは商用利用を説明するページなので、いちばん落としてはいけない語が落ちている形になります。
FAQが自分でEULAに投げ返している、という循環
ここからが厄介なところです。FAQの「できないこと」の5番目に、こう書かれていました。「EULA に記載されているテンプレートまたはサードパーティのメディアの使用制限に違反する用途で作品を使用する」。
つまり、FAQは「テンプレート入りでも商用に使える」と書いたうえで、「EULAのメディア使用制限に違反する用途はできない」とも書いていて、そのEULAは商用目的を禁止列挙に入れている。1ページの中で論理が一周してしまいます。読みながら、同じ場所を何往復もしたんですよ。
どちらが優先するかを決める記述を探しましたが、公式のどこにも見当たりませんでした。EULAの末尾には優先順位の規定がひとつだけあります。「本日本語訳は参照用であり、英文契約書の理解の補助のために作成されたものです。記載の内容に差異がある場合は英文の契約書が優先されます」。
ただ、これは日英の優先順位の話です。英語版EULAも「commercial」を禁止列挙に入れているので、英語優先で読んでも結論は変わりません。FAQとEULAのどちらが上か、という問いには、この規定は答えていないんですよね。
この食い違いを、実務ではどう扱うか
禁止されているのは「メディアコンテンツ」の商用利用であって、自分で撮った素材や自分で作った要素だけで組んだ動画は、この条項の対象外と読めます。
つまり、付属テンプレート・付属BGM・ストック素材を混ぜるかどうかが分かれ目です。自前の素材だけで組めば、EULA側の禁止列挙には触れない読み方ができます。これは条文の主語を追った整理であって、法的な助言ではありません。金額が動く判断の前には、CyberLinkへの問い合わせを挟むのが確実です。
この読み方には根拠があります。EULAの条項の主語は、ソフト本体ではなく「メディアコンテンツ」だからです。同じ条項に「メディアコンテンツは本ソフトウェア内で利用すること」とも書かれていて、対象が付属素材に限定されていることが読み取れます。
4. PowerDirectorの無料版は商用利用できるのか|体験版ライセンスの条文と公式の沈黙
PowerDirectorの商用利用で、いちばん質問が多いのがここだと思います。結論から書くと、無料版が商用利用できるかどうかを、公式はどこにも書いていません。書いていない、が今日時点の答えです。
EULAはライセンス種別ごとに条文を分けている
EULAの本文は、ライセンスの種類ごとに条件を分けて書いています。2026年9月19日時点の原文を整理するとこうなります。
| ライセンス種別 | 日本語版EULAの記述 | 英語版EULAの記述 |
|---|---|---|
| 個人ライセンス | 購入したお客様のみが使用 | for your own use |
| サイトライセンス | 単一組織での使用 | used in a single location |
| ボリュームライセンス | デバイス1台につきコピー1つ | Only one copy per device |
| 評価/体験版ライセンス | このライセンスを営利目的に使用することはできません | This license is for non-commercial use. |
| サブスクリプション | 定期的な支払いが条件。一定期間経過で権利を失う | recurring subscription payments |
| 教育ライセンス | 直接の営利目的、収益を得る主な手段としては使用できません | for educational purposes and non-commercial use only |
注目してほしいのが4行目です。評価/体験版ライセンスだけは、日英そろって「営利目的に使用することはできません」と明記されています。ここに曖昧さはありません。
では無料版のEssentialは、どの種別なのか
ここが空欄です。無料版のPowerDirector Essentialが、EULA上のどのライセンス種別に当たるのかを、公式はどのページにも書いていません。探した範囲では1件も見つかりませんでした。
しかも、噛み合わない材料がいくつもあります。
- 製品概要ページは「期間制限なしで利用できる無料版」と書いていて、体験版の定義(一定期間で権利を失う)と噛み合わない
- ダウンロードページのフォーム見出しには「体験版をダウンロード」という表記が使われている
- 無料版の制限FAQには、30日間限定のプレミアム機能という期限つきの仕組みだけが書かれている
- 価格ページの比較表には、そもそもEssentialの列がない
- 商用利用FAQは「PowerDirectorで制作した作品」としか書かず、どのライセンスの話なのかに触れていない
この状態は、3日前に無料版を調べたときから変わっていませんでした。無料版の制限をまとめた記事では「恒久的に使える無料のEssentialという別製品」という整理をしていて、そこは今回も同じです。
ただ、恒久的に使える無料版という性質と、EULAの体験版ライセンスの定義は、そのままでは重なりません。恒久無料なら体験版ではないはずで、体験版なら営利目的に使えないはずで、どちらの読み方も途中で詰まります。
無料版で商用に出すなら、先に詰まるのはウォーターマークのほう
書き出した動画に透かしが乗る状態では、クライアントへの納品物としては成立しません。商用利用の可否を突き詰める前に、そこで選択肢から外れることが多いと思います。
加えて、無料版では付属素材の一部も書き出せません。iStock(Getty Images)やMetaのBGMは「プレビューでのみ利用できるプレミアム機能」とされていて、適用したプロジェクトは書き出せない建て付けです。
これは皮肉な話でもあります。無料版だとGetty Images素材を含んだまま書き出せないので、EULAのGetty条項と実務上ぶつからないという構造になっているんですよ。制限が、結果的に権利の事故を防いでいる形です。
5. PowerDirectorの商用利用とコーデックの追加ライセンス|日英でリストが違う
PowerDirectorの商用利用でいちばん見落とされているのが、動画コーデックの追加ライセンスです。EULAには、自分で特許ライセンスを取りに行く必要がある、と書かれています。
日本語版EULAの原文はこうです。「お客様が本ソフトウェアをお客様の直接の営利目的、またはお客様の収益を得る主な手段として使用する場合は、以下の非網羅的な一連のサードパーティの技術に対して追加のライセンスを取得する必要があります」。
そして最後にこの一文が置かれています。「サイバーリンクは、商用を目的とした使用については上記の項目をライセンス許可しません」。英語版も「CyberLink does not license the above items for commercial use」で同じ内容でした。
日本語版と英語版で、挙げられているコーデックが違う
| 技術 | 日本語版EULA | 英語版EULA |
|---|---|---|
| H.264/AVC | 記載あり | 記載あり |
| H.265/HEVC | 記載あり | 記載あり |
| MPEG-4 Visual | 記載あり | 記載なし |
| VC-1 | 記載あり | 記載なし |
| MVC | 記載なし | 記載あり |
| MPEG-2/4 AAC 5.1ch | 記載なし | 記載あり |
連絡先も違いました。日本語版はVia Licensing AllianceとAccess Advanceの2社、英語版はMPEG LAとVia Licensing CorporationとAccess Advanceの3社が並んでいます。住所の表記もそれぞれ別です。
特許ライセンスの通知は「個人的・非商用」と書いている
AVC(H.264)の通知は、日英のEULAとサービス規約に共通で載っていました。「本製品は、個人的な目的および非商用的な使用を目的として、『AVC PATENT PORTFOLIO LICENSE』に基づいた次の行為を許諾します。…これ以外の使用は認められません」。
HEVC(H.265)の通知はもっと具体的です。日本語版サービス規約の表記で、「(1)個人利用のみを目的としたHEVCコンテンツ(2)販売目的でないHEVCコンテンツ(3)製品の所有者が作成したHEVCコンテンツ」の3条件すべてを満たす場合に限る、とされています。
文面だけを追うと、H.264もH.265も「個人的・非商用」に限定されている読み方になります。いっぽうFAQは、同じ製品について「YouTubeで収益化できる」と書いている。
この2つは、本来は別のレイヤーの話です。特許ライセンスの通知は「誰にどの特許の使用が許諾されているか」の話で、FAQは「CyberLinkが作品の使い方をどう許可しているか」の話だからです。ただ、その関係を説明した公式の記述は見つかりませんでした。

ここまで読むと、もう怖くて使えない気がしてきました……。書いてないことが多すぎませんか?
いえ、そうは思いません。この手の特許ライセンスの通知文は、PowerDirectorに限った話ではなく、H.264やH.265を扱う機器やソフトに広く載っているものです。
大事なのは、怖がって避けるのではなく、自分の案件がどの条件に当たるのかを言葉にしておくことです。書いてある条件と、自分の使い方を並べて、重なる部分だけで組む。そういう仕分けをしていきましょう。
6. PowerDirectorのAI生成素材は商用利用できるか|FAQと利用規約が逆を向いている
PowerDirectorのAI生成素材の商用利用は、FAQを読むと「できる」、サービス規約を読むと「動画は条件つき」になります。2026年9月19日時点で、ここもきれいに割れていました。
FAQ側は「商用目的で利用できます」と書いている
「生成物は、広告、販売促進、Webサイト、動画配信(収益化含む)、SNS投稿、音楽利用等を含む商用目的で利用することができます。なお、生成物の形式(画像・動画・音声)や利用方法によっては、別途利用条件や制限が適用される場合があります。特に動画形式および音声形式の生成物については、当社利用規約(上記)または関連ライセンス条項に従うものとします。」
「免責事項:生成物の利用または利用不能により生じた紛争、損害、クレーム等について、当社は一切の責任を負いません。」(CyberLink公式FAQより引用)
前半だけ読むと、動画配信の収益化まで正面から認めています。ただし後半で「動画形式および音声形式の生成物については利用規約に従う」と書いて、答えを利用規約に投げ返しています。
投げ返された先の利用規約は、逆のことを書いている
では、その利用規約を開きます。サイバーリンク社のサービス規約の第5条(III)(c)に、こう書かれていました。
「お客様は、写真や画像形式であることを条件として、出力コンテンツを商業的に利用することができます。ビデオ形式で生成された出力コンテンツについては、第5条(IV)(b)および第5条(IV)(c)のライセンス条項に従うものとします」。
送り先の2つを確認すると、(IV)(b)はAVCの「個人的・非商用」条項、(IV)(c)はAccess AdvanceのHEVC条項(個人利用のみ・販売目的でない・製品の所有者が作成)でした。どちらも非商用の側です。
| 生成物の形式 | FAQの書き方 | サービス規約の書き方 |
|---|---|---|
| 画像・写真 | 商用目的で利用できる | 商業的に利用できる |
| 動画 | 動画配信(収益化含む)も商用可 | 第5条(IV)(b)(c)=個人的・非商用の条項に従う |
| 音声 | 音楽利用も商用可 | 関連ライセンス条項に従う |
画像は両方の文書で商用OK。動画だけが、同じ会社の2つの文書で真逆に読めます。動画編集ソフトのAI機能の話なのに、いちばん使いたい形式がここで割れているんですよ。
AI生成物の権利について、FAQが丁寧に書いている部分もある
「AI 関連機能で編集または生成されたメディアは、書き出した時点でユーザーの所有物とみなされます」。ここまでは強い許可です。続けて「ただし、編集用に選択したオリジナル メディアの知的財産権は、メディア コンテンツ提供者のライセンスに基づきます」と書いています。
さらに踏み込んだ一文もあります。「著作権保護されたコンテンツと非常に似ているが同一ではない画像を、AI 画像生成のカスタム プロンプトを使って生成した場合、生成されたコンテンツの所有権はあなたにあります。ただし、CyberLink の主張に関係なく、収益化目的で使用するのは適切ではない可能性があります」。
所有権は渡すけれど、それが安全を意味するわけではない、とはっきり書いています。この書き方は、むしろ信頼できる部類だと思います。Runwayの商用利用を整理した記事でも似た構造を扱いましたが、AI生成物の権利まわりは、どのツールでも「所有権」と「安全性」が別々に書かれます。
7. PowerDirectorの商用利用でテンプレート・Getty Images素材をどう扱うか
PowerDirectorの商用利用で実際に事故りやすいのが、付属のテンプレートとストック素材です。ここを先に使える形にしておきます。
EULAには「Getty Images Contentのライセンスを購入しない限り、最終物または公で利用できる素材においてGetty Images Contentを使用することはできません」と明記されています。FAQの「追加ライセンスなしで使える」とは、読める範囲がだいぶ違います。
EULAのGetty Images条項に並んでいる制限
2026年9月19日時点のEULAから、案件で効きそうなものを拾います。
6つ目、受託だとかなり重い条件です。ロゴやブランドアイデンティティーの制作にGetty Images素材を使うのは、公式の記述上は外れます。ブランディング案件でモーションロゴを作る場面では、ここを踏みやすいんですよね。
FAQの「追加ライセンス不要」と、EULAの「購入しない限り使えない」
この2つも正面からぶつかっています。FAQは「Getty Imagesのコンテンツが含まれていても追加ライセンスなしで使える」と書き、EULAは「ライセンスを購入しない限り最終物では使えない」と書く。
ただ、実務では衝突しにくい構造になっています。無料版ではiStock(Getty Images)がプレビュー専用で、適用したプロジェクトを書き出せないからです。書き出せないものは、最終物に乗りません。
テンプレートを使うこと自体にも条件がある
EULAのメディアコンテンツ条項には、もうひとつ短い条件がありました。「メディアコンテンツのご利用には、本ソフトウェアのご購入または有効なサブスクリプションのご契約が必要です」。
素直に読むと、購入もサブスク契約もしていない無料版の状態で付属素材を使うことについて、EULAは許可を出していない読み方ができます。この点も、公式は明示していません。
ややこしいですが、整理はシンプルです。自分の素材だけで組めば、この条項の議論に入らずに済みます。字幕を入れる手順をまとめた記事のように、テキストとタイミングだけで組める工程なら、素材の権利の話はそもそも発生しません。
8. 受託制作でPowerDirectorを商用利用するときに詰まる4つの線引き
PowerDirectorの商用利用を受託の現場に当てはめると、公式の文言では決めきれない場所が4つ出てきます。どれも「言葉の定義が書かれていない」タイプの詰まり方です。

線引き1:制作費を受け取るのは「直接収益源として販売する」ことなのか
ここが最大の詰まりどころです。FAQの「できないこと」の筆頭は「PowerDirector または Promeo で作成した作品を、直接収益源として販売する」。
受託制作は、クライアントの動画を作って納品し、制作費を受け取ります。この「制作費」が作品の販売代金に当たるのか、役務への対価なのか。公式はどちらとも書いていません。
線引き2:「有償のオンライン授業」はどこまでを指すのか
無償の授業はOK、有償の授業はNG。ここまでは書いてあります。では、月額課金のコミュニティ内で配る解説動画は、どちらでしょうか。
会費は授業料ではないとも読めますし、対価を取って動画を見せている以上は有償だとも読めます。オンラインサロン、メンバーシップ、有料ニュースレターの添付動画。このあたりは定義が書かれていないので、自分では決められません。
線引き3:「ハードコピーとして印刷する」の対象範囲
「テンプレートまたはサードパーティのストック素材を含む作品を、ハードコピーとして印刷する」がNGとされています。動画の話をしているページに、印刷という語が出てくるのが不思議なところです。
素直に読めば、動画から静止画を起こして紙に出す話だと思います。ただ、Blu-rayやDVDに焼いて物理メディアとして配布するのが「ハードコピー」に含まれるのかは書かれていません。ディスク作成機能を持つソフトなので、ここは気になる部分です。
線引き4:法人が使うときにボリュームライセンスが要るのか
価格ページのよくある質問には、サブスクリプション版と買い切り版のどちらにも教育機関・法人向けのボリュームライセンスプランがある、と書かれています。用意はされている、という情報です。
ただ、法人が通常版を買って業務に使ってよいのか、ボリュームライセンスへ移る条件は何なのかは書かれていません。EULAの個人ライセンスは「購入したお客様のみが使用」、サイトライセンスは「単一組織での使用」とあるだけです。
他社だとここを明言しているところもあります。たとえば別のツールでは、法人が費用を負担するなら法人向けプラン、と回答で線が引かれていました。その比較の詳細はVrewの商用利用の記事に書いています。PowerDirectorの場合、同じ質問への公式回答が見つかりませんでした。
4つとも、公式に問い合わせれば答えが出る種類の質問です。自分で解釈して進めるより、案件が決まった時点で1通投げるほうが早いと思います。
僕の場合、この手の質問は「使う予定のツール名」「納品先」「対価の受け取り方」の3点を1通にまとめて送ります。回答が返ってきたら、そのメールを案件のフォルダに入れておく。次に同じ質問が来たとき、1分で答えられるようになります。
9. PowerDirectorの商用利用を判断する前に、僕が納品物で確認していること
ここからは僕自身の話です。MVの仕事で外部ツールの規約が納品物に絡むとき、毎回どこを確認しているかをそのまま書きます。
確認1:納品物の行き先を、契約の前に1行で聞く
これがいちばん効きます。MVって、YouTubeに上げて終わりのつもりだった案件が、途中から「サブスクの配信にも出す」「会場のビジョンでも流す」と広がることがあるんですよね。
PowerDirectorの場合、行き先で効いてくるのは2か所です。FAQが名指しで許可しているのはYouTube・SNS・自社サイト・展示会での上映。ここに収まるなら、文言の範囲にきれいに入ります。
確認2:付属素材を使ったかどうかを、プロジェクトのメモに残す
これは今回の調査でいっそう強く思いました。PowerDirectorのEULAは、禁止の主語を「メディアコンテンツ」に置いています。つまり、付属素材を使ったかどうかで、当たる条文が変わります。
僕はプロジェクトごとに、使った素材の出どころを1行ずつ書いたテキストを残しています。自前の撮影素材、購入した音源、ツール付属のテンプレート。この3つのどれかを書いておくだけです。
確認3:許可の文と免責の文を、必ずセットで読む
PowerDirectorのFAQも、まさにその形でした。前半で「YouTubeで収益化できます」と書いて、後半で「リスト以外は保証しません」と書く。AI生成素材の節も、所有権を認めたうえで「収益化目的で使用するのは適切ではない可能性があります」と続けています。
許可の強さと、トラブルが起きたときに誰が立つかは別の話です。両方を見ないと、判断を誤ります。
確認4:判断できない項目は、使わない欄に入れる
公式に書いてある使い方だけで組めるなら、そのまま進める。書いていない使い方が1つでも混じるなら、その部分だけ別の手段に置き換える。
問い合わせて答えをもらうのがいちばん確実なんですが、返事を待つあいだ制作が止まるのは現実的じゃないんですよね。なので僕は、待たずに済む形に設計し直すほうを先にやります。BGMだけ別のライブラリから持ってくる、みたいな小さい置き換えで済むことが多いです。
この4つを通すと、PowerDirectorの商用利用は「全部OK」でも「危ないから避ける」でもなく、行き先と素材の組み合わせで決まるものとして扱えるようになります。判断の軸が2つに減るので、案件ごとに迷わなくて済むんですよ。
ちなみに、受託そのものの取り方から整理したい人は動画編集の案件の取り方をまとめた記事のほうが役に立つと思います。規約の話は、案件が動き出してから初めて必要になる工程なので。
10. PowerDirectorの商用利用が合う人・合わない人|納品先で線を引く
ここまでの内容を、判断できる形に落とします。PowerDirectorの商用利用が合うかどうかは、スキルや予算ではなく作ったものの行き先と、動画に何を混ぜるかで決まります。
PowerDirectorの商用利用が合う人
- 自分のYouTubeチャンネルやSNSアカウントを運営していて、広告収入を目的にしている人(FAQが名指しで許可している)
- 自社の商品やサービスを紹介する動画を、自社サイトやSNSで公開する担当者
- 展示会・店頭・イベントで自社の作品を上映する使い方をしている人
- 無償で公開するオンライン講座の教材動画を作っている人
- 有料プランを契約したうえで、付属素材を動画の中に溶かして使う人
PowerDirectorの商用利用に慎重になったほうがいい人
- 動画そのものを商品として販売する予定がある人(できないことの筆頭に挙げられている)
- 受講料を取るオンライン講座の教材を作る人(有償のオンライン授業は禁止側)
- ブランドのロゴやアイデンティティーの制作に、付属のストック素材を使いたい人
- 受託でクライアントの動画を作り、制作費を受け取っている人(該当する項目が書かれていない)
- 無料版のまま納品物を作ろうとしている人(ウォーターマークとライセンス種別の両方で止まる)
- PowerDirectorを直接の収益手段として使う人(コーデックの追加ライセンスを自分で取る必要があると書かれている)
とくに4つ目。受託制作が「できること」にも「できないこと」にも書かれていないという状態は、慎重に扱ったほうがいい種類の空白です。禁止されているのではなく、答えがない。ここは自分で解釈するより、問い合わせで埋めるほうが早いんですよ。
立場別に、確認する場所を変える
| 立場 | いちばん先に読む場所 | 引っかかりやすい条件 |
|---|---|---|
| 個人の発信(YouTube・SNS) | 商用利用FAQの「できること」6項目 | 動画の直接販売に踏み込まないこと |
| フリーランスの受託 | FAQの「直接収益源として販売する」の解釈 | 該当する項目が書かれていない |
| 法人・企業 | EULAのライセンス種別とボリュームライセンス | 通常版で法人利用できるかが不明 |
| 無料版のまま使う | 無料版の制限FAQとEULAの体験版ライセンス条項 | ウォーターマークと種別の不明さ |
他のツールと比べたい人へも、1本だけ置いておきます。同じ観点で規約を読んだものとしてはCapCutの商用利用を整理した記事があります。規約の透明度という意味では、ツールごとにかなり差があります。
ツールを選び直す段階の人は、規約の読みやすさ自体を選定基準にするのもありだと思います。Filmoraの危険性を検証した記事やPremiere Proを無料で使う方法の記事も、同じ視点で書いています。
11. PowerDirectorの商用利用で公式が答えていない14項目
ここまでで、PowerDirectorの商用利用について答えが出る論点はだいたい埋まりました。残りを全部出します。2026年9月19日の調査で、公式がどこにも答えていなかった項目が14件です。
| # | 公式が答えていないこと |
|---|---|
| 1 | 無料版のEssentialが、EULA上のどのライセンス種別に当たるのか |
| 2 | 無料版で作った作品が、商用利用FAQの対象に含まれるのか |
| 3 | EULAの「商用目的で利用しない」とFAQの「テンプレート入りでも商用可」のどちらが優先するのか |
| 4 | 「直接収益源として販売する」の線引き(制作費の受け取りは販売なのか) |
| 5 | 受託制作が「できること」6項目のどれに当たるのか |
| 6 | 「有償のオンライン授業」の定義(月額課金のコミュニティ内の動画は該当するか) |
| 7 | 「ハードコピーとして印刷する」の対象範囲(ディスクに焼いて配布は印刷か) |
| 8 | コーデックの追加ライセンスを誰がいくらで取るのか |
| 9 | AVC/HEVCの「個人的・非商用」通知と、FAQの「YouTube収益化OK」の関係 |
| 10 | 動画形式のAI生成物の商用利用(FAQは可・規約は非商用条項へ送り返し) |
| 11 | 買い切り版のクラウドストレージが1年で切れたあとの扱い |
| 12 | 買い切り版が今後どのバージョンまで無償アップデートされるのか |
| 13 | 法人が使う場合にボリュームライセンスが要るのか(通常版でも法人利用できるのか) |
| 14 | 2024年版のEULAが、現行世代の製品に適用される根拠 |
14番、地味に気になるところです。サポートセンターのリンク名は「PowerDirector 365 EULA」なのに、開くと中身は2024年版の使用許諾契約書で、最終更新は2024年2月29日のままでした。製品の世代とEULAの世代が開いています。
3日で表示が変わった項目がこれだけある
この記事を書く前に、同じ公式サイトを9月16日にも取得していました。3日後の9月19日に開き直したら、いくつも変わっていました。
- 買い切り版の世代表記が、次の年の製品名に切り替わっていた(価格の表示額は同じ)
- 買い切り版のAIクレジットが「付与対象外」から、比較表に具体的な数の記載へ変わっていた
- サブスク側のクレジット表記が、月あたりの数から年間の総量との併記に変わっていた
- 商用利用FAQの項目が、できること5・できないこと4から、6と6に増えていた
- プラン比較表に「SNS 収益化 / 企業 PR / 宣伝利用」の行と、FAQへの脚注リンクが新設されていた
- 価格ページのセール表記が、取得日より前の終了日のまま残っていた
さらに同じ日の取得でも、ページごとにセール名と割引額が違っていました。価格ページのヘッダーと、FAQのヘッダーで、キャンペーンの名前も上限額も別の表示です。
だからこの記事では、価格・セール・クレジット数・製品世代を数字で断定しません。同じ公式サイトでも、見る日とページでセール名・終了日・割引額が違います。金額は決済画面で必ず確認してみてください。
ついでに言うと、無料版の制限についても日本語版FAQと英語版FAQで書いてあるコーデックが違ったままでした。この件は無料版を検証した記事で詳しく扱っています。3日たっても、そこは変わっていません。
規約の範囲がわかったら、次に決めること
同じ読者が次に調べている内容を先にまとめています。
12. PowerDirectorの商用利用についてよくある質問と、判断のまとめ
最後に、PowerDirectorの商用利用で公式を読んでも分かりにくかった点を5つに絞って答えます。すべて2026年9月19日時点の公式の表記が根拠です。

結局、YouTubeで収益化していいのかどうかだけ先に知りたいです。そこだけ端的にお願いします。
端的に言うと、FAQの記述上はできます。「YouTube に作品をアップロードして収益化する」は、できることの1番目に書かれています。気をつけるのは、動画そのものを売る形に踏み込まないことと、無料版だと透かしが入ることの2点ですよ。
Q1. PowerDirectorで作った動画は商用利用できますか?
公式FAQの記述上はできます。YouTubeでの収益化、SNSでの商品・サービスの宣伝、自社サイトでの会社紹介、展示会での上映、無償のオンライン授業での利用が、できることとして並んでいます。
ただし、同じ公式のEULAは「メディアコンテンツを違法、興行、商用目的、公序良俗に反して利用しないこと」と書いていて、FAQの要約からは「商用目的」だけが抜けています。付属素材を混ぜる場合は、この食い違いを知ったうえで判断してみてください。
Q2. 無料版のPowerDirectorでも商用利用できますか?
公式は答えていません。EULAには「評価/体験版ライセンスを営利目的に使用することはできません」と明記されている一方、無料版のEssentialがその種別に当たるのかを書いた公式ページが見当たりませんでした。
実務的には、その前に止まります。無料版の書き出しにはウォーターマークが入ると制限FAQに書かれているからです。納品物として使うつもりなら、権利の議論より先にそこで選択肢から外れると思います。
Q3. クライアントから依頼された動画をPowerDirectorで作って納品していいですか?
これも公式が答えていない領域です。できること6項目に受託制作に当たるものがなく、できないこと側の「直接収益源として販売する」に当たるかどうかの定義も書かれていません。
禁止と書かれているわけではなく、該当する記述がない、という状態です。案件が決まった時点で、ツール名・納品先・対価の受け取り方の3点をまとめて公式に問い合わせるのが早いと思います。
Q4. PowerDirectorのAI機能で作った映像は商用利用できますか?
形式によって、読める答えが変わります。FAQは「広告、販売促進、Webサイト、動画配信(収益化含む)、SNS投稿、音楽利用等を含む商用目的で利用することができます」と書いています。
いっぽうサービス規約は「写真や画像形式であることを条件として、出力コンテンツを商業的に利用することができます」と書き、ビデオ形式については第5条(IV)(b)(c)、つまり個人的・非商用の特許ライセンス条項に従うとしています。
Q5. 商用利用するのに、コーデックの追加ライセンスを自分で取る必要がありますか?
EULAの記述上は、条件に当たるなら要ります。「本ソフトウェアをお客様の直接の営利目的、またはお客様の収益を得る主な手段として使用する場合は、…追加のライセンスを取得する必要があります」と書かれているからです。
そして「サイバーリンクは、商用を目的とした使用については上記の項目をライセンス許可しません」と明記されているので、窓口はCyberLinkではなく特許ライセンス団体になります。対象のコーデック名と連絡先は日英のEULAで違っているので、両方を見るのが安全です。
- PowerDirectorの商用利用は、公式FAQでは「できる」と明記。できること6項目・できないこと6項目
- 同じ公式のEULAは「メディアコンテンツを商用目的で利用しないこと」と書いていて、日英とも同じ
- FAQが同じ条項を要約するとき、4つの禁止列挙から「商用目的」だけが落ちている
- 無料版のEssentialがどのライセンス種別なのかを、公式はどこにも書いていない
- 直接の収益手段として使うなら、コーデックの追加ライセンスは自分で取ると書かれている
- AI生成物は、画像なら両方の文書で商用OK。動画はFAQと規約で逆を向いている
- 公式が答えていない項目が14件。受託制作の扱いはその中のひとつ
- 価格・セール・クレジット数・製品世代は日によって表示が変わる。決済画面で確認する
PowerDirectorの商用利用は、調べる前に思っていたよりずっと広く認められていました。自分の発信や自社の宣伝に使うぶんには、収益化まで含めて公式が正面から認めています。
引っかかるのは、答えが3つの文書に散らばっていることのほうでした。FAQだけを読むとEULAの禁止列挙が見えないし、EULAだけを読むとFAQの許可が見えない。1か所を読んで判断すると、どちらに転んでも読み違えます。
なので、この記事を1回ぶんの下調べとして使ってもらえたらうれしいです。ここに書いたのは「公式の文書にこう書いてある」という整理であって、法的な判断ではありません。金額が動く前には、公式の最新版をご自身で開いて確認してみてください。
権利の線が引けたら、あとは作るだけです。一緒に、安心して出せる動画を増やしていきましょう。
確認日:2026年9月19日。商用可否・ライセンス種別・素材の条件は、すべてCyberLink公式の当日の記述に基づいており、筆者による実機検証は行っていません。価格・セール・AIクレジット数・製品世代は日によって表示が変わるため、この記事では数値を断定していません。規約やFAQは改定されるため、判断の前にはご自身で最新版を開いて確認してみてください。
参照した主なページ:商用利用FAQ(サポートセンター id=28902)/CyberLink PowerDirector 2024 使用許諾契約書の日本語版と英語版(最終更新 2024年2月29日)/サイバーリンク社の全般的なサービス規約(最新更新 2024年10月)/PowerDirector の価格・プラン比較ページ/PowerDirector Essential の利用制限についてのFAQ。
